東京「若竹ミュージカル」酒田公演 障害超え舞台作り上げる
東京都内の特別支援学校の卒業生と支援者らが出演する若竹ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」(12月1日)のプレイベントが9月28日、会場となる酒田市の希望ホールで開かれ、出演者らがミュージカルへの熱い思いを語った。12月の本公演では同市の酒田特別支援学校の生徒と教職員も出演する。
若竹ミュージカルは、東京学芸大附属特別支援学校(東京都東久留米市)の卒業生と支援者が1993年に立ち上げた。知的障害者と参加者が共に学び合いながらミュージカルを作り上げ、公演している。代表を務める東京福祉大社会福祉学部の工藤傑史専任講師が酒田市出身という縁で、招致する。同市名誉市民の世界的テノール歌手・市原多朗さんも支援している。
この日のプレイベントは市と市文化芸術推進プロジェクト会議(会長・工藤幸治市芸術文化協会長)の主催で、約70人が参加。第1部では、若竹ミュージカルの活動にスポットを当てたドキュメンタリー映画「空想劇場」が上映され、出演者たちがそれぞれ日々の仕事をこなしさまざまな葛藤を抱えながらも練習に通い、力を合わせ舞台を作り上げていく様子が紹介された。第2部では工藤代表や同映画の金聖雄監督、同ミュージカル出演者4人と保護者ら計12人が登壇し、トークショーを繰り広げた。
金監督は「いわゆる『うまい』ではないが、心が打たれる。時間をかけて一つ一つのせりふ、動きが濃いものになっていく」と若竹ミュージカルの魅力を紹介。出演者は「普段は心を込めてクッキーを作っている」など日常の生活の様子や「酒田で皆さんと一緒に舞台を作れるのが楽しみ」など公演への思いを語った。
工藤代表は「ひたむきな役作りは『成長したい』という思いの表れで、『教育』という枠組みを超えて伝わるものがある。障害の有無の垣根を取っ払い、多くの人に見に来てほしい」と呼び掛けた。
本公演では、指揮者の広瀬隆さん率いる若竹ミュージカルオーケストラや、ソリストとして市原さんの教え子のテノール歌手・工藤和真さんら、スタッフを含め約120人が訪れる。また、酒田特別支援学校高等部の全生徒32人と教職員15人も出演の予定で、今年5月から関矢基博教諭らの指導の下、歌や踊りの練習を重ねている。
本公演は12月1日(日)午後1時半開演。チケットは一般500円、学生は無料、障害者手帳を持っている人は招待する。問い合わせは希望ホール=電0234(26)5450=へ。

プレイベントのトークショーでミュージカルへの熱い思いを語った出演者ら。左端手前は工藤代表、その奥で話しているのが金監督
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