案内機能備え公開始まる 「開墾士住宅」復元完了し開設式
鶴岡市の国指定史跡・松ケ岡開墾場にある市指定文化財「松ケ岡開墾士住宅(新徴屋敷)」の復元工事が完了し、1日、市と認可地縁団体松ケ岡開墾場による開設式が行われた。これまで非公開だった内部が公開されるほか、新たに日本遺産「サムライゆかりのシルク」と松ケ岡開墾場を案内紹介するインフォメーションセンター機能を持たせた。
同市の「サムライゆかりのシルク」は2017年4月に、日本遺産に認定された。史跡・松ケ岡開墾場は、この構成文化財の中核に位置付けられ、21年には開墾150年の節目を迎える。こうした背景から鶴岡「サムライゆかりのシルク」推進協議会(会長・皆川治市長)と認可地縁団体松ケ岡開墾場(堀誠理事長)が、文化庁など国の補助金交付を受け、今年1月から復元工事を進めた。事業費は約1090万円。
新徴屋敷は、戊辰戦争に参戦した新徴組の住まいとして1870(明治3)年、同市大宝寺町と道形町の境界付近に137棟建てられたもので、一帯が「新徴屋敷」と呼ばれた。このうち約30棟が75(明治8)年に松ケ岡に移築され、開墾士の住宅として利用された。復元されたのは、唯一原型をとどめる形で長く住宅として使用された建物で、保存のため1986(昭和61)年に開墾場内の現在地に移築された。今回、史料を基に玄関や土間の移設、縁側設置、石置き屋根修繕などを施し、往時の姿が復元された。
建物は、石場建ての基礎で木造平屋建て寄棟石置き屋根、広さ約70平方メートル。座敷、納戸、炉が切ってある茶の間の畳敷き3間、玄関、台所などがある。案内機能では休館日(原則として月曜)を除く午前11時―午後3時にガイド1人を配置する。
開設式には市や地元などの関係者約50人が出席。堀理事長が「日本遺産の観光で訪れる方々のおもてなしの拠点、地元と観光客が触れ合う拠点として活用していきたい」、皆川市長が「開墾場は地域の皆さんが大事に継承してきた、鶴岡の重要な観光拠点。これを機に市内外への情報発信に努めたい」とあいさつ。酒井忠久松ケ岡開墾場総長らと共にテープカットし、開設を祝った。

復元が完了し公開が始まった開墾士住宅(新徴屋敷)
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