「北限のスダチ」収穫盛ん
県庄内総合支庁農業技術普及課産地研究室(酒田市浜中)で、かんきつ類の一種「スダチ」の収穫作業が盛んに行われている。地球温暖化に伴う適応性調査のため2010年シーズンからカボスやユズ、温州ミカンなどとともに試験栽培しているもの。果皮を若干乾燥させ、搾りやすくする「予措(よそ)」を終えたものから順次、庄内地域の飲食店や宿泊施設などに有償提供し、品質を評価してもらう。
東北地方では100年後の年平均気温が2―3度上昇すると予測され、庄内地域の一部が温州ミカンの栽培に適する年平均気温が15―18度になる可能性があるという。
県は長期的な視点に立ち2010年、「地球温暖化に対応した農林水産研究開発ビジョン」を策定。これを受け、同研究室は温暖地型作物の栽培適応性調査の一環で広くかんきつ類の試験栽培を始めた。調査結果からスダチの適応性が高いことが分かり、「地球温暖化対応プロジェクト総合戦略事業」として栽培実証や販路確保に取り組んでいる。
同研究室開発研究専門員の石川妙さんによると、昨季は地元の飲食店や宿泊施設に有償で提供したところ、店主、経営者から「(名産地の)徳島県産と遜色ない出来」「地産地消に向け、地元産をより多く扱っていきたい」といった声が上がり、かなりの好評を得たという。
同事業の最終年度となった今季は早熟な上、果実の肥大も順調。収穫作業は平年に比べて1週間ほど早い先月28日に始まった。3日午前は同研究室職員が出て、一つずつ丁寧にはさみでもぎ取っていた。今季はほ場全体で2Lサイズ(直径36―39ミリ)以上のスダチ約5000個の収穫を見込んでおり、作業は9月いっぱい続くという。
石川さんは「これまで研究を進めてきた貯蔵方法も確立することができた。ジャム、シャーベットにしてもおいしく、使い道が幅広い。キャッチコピーとして掲げている『北限のスダチ』をさまざまな形で活用してもらえたら」と話した。

産地研究室でスダチの収穫作業がスタート。低木のため作業は比較的容易=3日午前
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