宇宙事業にトヨタの経験 元副社長の加藤氏 大樹を支援
大樹町内でのロケット発射場整備を目指す「北海道航空宇宙企画」(社長・酒森正人大樹町長、略称HAP)の顧問に就任した元トヨタ自動車副社長で、豊田中央研究所(愛知県長久手市)の加藤光久会長が2日、十勝毎日新聞社のインタビューに応じた。加藤氏は「夢を描く人たちに対して、私も夢を描き、ぜひ仲間にしてもらいたかった」と語り、全面的に支援する意向を強調した。

インタビューに応じる加藤会長
HAP顧問
HAPは、インターステラテクノロジズ(IST、大樹町、稲川貴大社長)が開発中の人工衛星軌道投入用ロケット「ZERO(ゼロ)」などを打ち上げる射場の整備に向けて6月に発足した。事業計画を策定し、運営会社に移行する。加藤氏は8月に顧問に就任した。
加藤氏は2017年に大樹町を視察しており、「30年以上の航空宇宙基地誘致の取り組みに驚いた。このまま終わらせてはいけないと思った。(ISTは)若い人たちが情熱を持って取り組んでいる」と語った。
「夢があった」
北海道経済連合会(道経連)が2月に発表した宇宙産業ビジョンでは、大樹を核に「宇宙版シリコンバレー」の形成を目指すとしており、「夢やストーリーがあった」と賛同の決定打になったと述べた。
顧問としては「自動車開発のチーフエンジニアを務めたころのように、一つのチームをまとめるためのアドバイスはできる。射場づくりのビジョンを進めたい」と意欲を示した。
方向性は合致
トヨタグループの支援については、「ある段階に来たら、グループ各社に取り組みを説明し、理解してもらうことで寄付を募ることなどはできる」とした。11月に来道し、大樹町を訪問、鈴木直道知事と面会し思いを伝えたいとした。
トヨタ自動車と宇宙航空研究開発機構(JAXA)による有人月面車の開発プロジェクトにも触れ、「トヨタ自動車はモビリティー(移動性、移動手段)カンパニーを目指している。移動手段は車だけとは限らず、未来ではロケットなども含まれる」と述べ、宇宙分野への協力はトヨタグループの方向性と合致していることも示した。
<加藤光久氏>
旭川市出身。北大工学部卒。1975年にトヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。カローラ、クラウンの開発を担当、2017年4月までの約5年間、副社長を務めた。16年4月から現職。元自動車技術会会長。66歳。
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