「ムーン・パーカ」限定販売 鶴岡「スパイバー」とゴールドウイン共同開発
鶴岡市のバイオベンチャーのスパイバー(関山和秀代表執行役)と、ゴールドウイン(東京、西田明男社長)は29日、微生物による発酵プロセスで作られた新たな構造タンパク質素材の糸を使ったアウトドアジャケット「ムーン・パーカ」を、12月に数量限定で発売すると発表した。2015年の試作品発表から4年がかりで課題をクリアし、アウトドア向け製品の世界初の商品化を成し遂げた。
両社は石油などの化石資源をベースにした短期視点の消費型経済から、持続可能な資源に基づく長期視点の循環型経済への転換を視野に入れ、「脱石油」の繊維開発を目指して共同研究を進めてきた。
当初素材として想定した人工クモ糸の繊維は、水にぬれると数十%の収縮が起こる「超収縮」の特性があり、製品の寸法安定性に課題があった。このためスパイバーはさまざまなクモの遺伝子解析を進めるなど基礎研究から見直し、超収縮性を生み出すアミノ酸配列の特徴を推定。この特徴を配列から取り除くなど、配列を大規模に改変した遺伝子を新たに設計。同時に独自の紡糸、製織、加工プロセスも確立し、水にぬれても耐久性や安定性のある新たなタンパク質繊維の開発に成功した。
ムーン・パーカは、ゴールドウインのアウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」とスパイバーの連携企画商品として販売する。3層から成る表地の表側に新開発の構造タンパク質を100%使用。中綿には同ブランドの最上級の商品群に採用されているダウンを使用。冬のアウトドアからタウンユースまで幅広く使えるようシンプルなデザインを追求した。
東京・南青山で29日、ゴールドウインの渡辺貴生副社長と記者会見したスパイバーの関山代表執行役は「人類がより良い社会へと飛躍していくための大事な第一歩になった」と話した。
限定50着の抽選販売で、価格は15万円(税別)。特設サイトで10月31日まで購入申し込みを受け付け、当選者は東京・渋谷パルコに開業する店舗で12月12日から購入できる。
新たな構造タンパク質素材を使った「ムーン・パーカ」を発表するスパイバー関山代表執行役(右)と、ゴールドウイン渡辺副社長
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