自動運転車 伊那市長谷で実証実験スタート

多くの関係者らの期待を乗せて道の駅「南アルプスむら長谷」を出発する自動運転車
国土交通省は10日、伊那市長谷の道の駅「南アルプスむら長谷」を拠点にした公道で自動運転車の実証実験を始めた。開始式と、ドライバーが運転席から監視するのみの「レベル2」走行による約600メートルの試乗も行い、来賓やマスコミ関係者ら約80人が新技術を体感。手動に切り替える場面も1度あったが、同省の担当者は「おおむね順調」とした。11日からは約5キロのルートで、公募した市民モニターらが乗車してレベル2を実験。13日は係員が助手席に座るのみで運転席は不在の「レベル4」を行う。予備日を含めて16日までで、交通手段に不安を抱える中山間地での実験に注目が集まっている。
中山間地の移動手段や物流の確保、地域活性化などに自動運転車を導入する同省の実証実験は全国13カ所で実施している。
長谷では、道の駅と長谷総合支所を往復する国道152号をメインに一般交通と混在でレベル2を実施。レベル4は美和診療所周辺の約400メートルを交通規制し、モニター乗車なしで行う。小型無人機ドローンなど新産業技術を連携させる伊那市の物流の仕組み作りを踏まえ、人と荷物を同時輸送する「貨客混載」をこの実験で行うなど、社会受容性や地域効果を広く調べる。
実験車両は20人乗りのバスで、衛星利用測位システム(GPS)などで車両の位置を把握して自動走行。約200メートルの区間には「マーカー」と呼ばれる磁石を埋設し、雪などにも強いという磁気センサーによる自動走行も検証する。
開始式後の試乗は、ルートの一部を使った短縮コースで計10便運行した。乗り終えた白鳥孝市長は「狭いカーブを(自動運転で)読みきって通過した際には車内に拍手が起きた。ここまで技術が来ているのかと感動した。歴史的な場面に立ち会えた」と興奮気味。自動運転の実用化の目標とする2020年に向けて「通院といった高齢者らの足や観光など、あらゆる場面で活躍できる」と期待した。
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