深層崩壊の動画紹介 県土砂災害啓発センター

県土砂災害啓発センターが夏休み企画の中で紹介している深層崩壊の瞬間を捉えた動画を見る参加者(10日、那智勝浦町で)
県土砂災害啓発センター(和歌山県那智勝浦町市野々)が、間もなく8年を迎える紀伊半島大水害(2011年9月)で発生した深層崩壊と土石流の瞬間を捉えた動画を公開している。専門知識を持った職員が土砂災害を分かりやすく説明する夏休み企画の資料の一つ。動画は田辺市中辺路町の国道311号沿いで起きた際に地域住民が撮影したもので、センターは「深層崩壊の瞬間を捉えた動画は非常に貴重」と話している。16日まで。
センターは、この時季に増える観光客や帰省客を呼び込み、家族で土砂災害や地質に興味を持ってもらいたいと「土砂災害をよく知ろう~紀伊半島の土砂災害と地質について」と題した企画を10日から開始。DVD映像を見たり、県内各地から集められた地質標本に触れたりして、土砂災害について学ぶことができる。
紀伊半島大水害は、台風12号に伴う記録的な豪雨により引き起こされた。センターによると、中辺路町真砂の門谷では、幅約160メートル、長さ約290メートル、面積約3・42ヘクタールに上る深層崩壊が発生。富田川右岸を通っていた国道311号や川を覆った。その後、復旧や対策工事が進められ、現在、国道は橋を渡って対岸を通る形になり、砂防堰堤(えんてい)も造られた。
動画は地域住民から提供を受けたもので、時間は5秒ほど。9月4日に上流側の数百メートル離れた場所から撮影したという。川に向かって激しく土石流が押し寄せている様子が確認でき「ちょっと大丈夫!」と緊迫した様子の声も入っている。
今回、「土石流がこのような形で来るということを分かりやすく伝えることができる」と、資料の一つとして紹介することにしたという。
夏休み企画ではこのほか、風化が進むと崩れやすく土砂災害の原因となる「花こう岩」を金づちでたたいてみたり、土石流が起こる様子を再現する装置を見たりできる。
センターの坂口隆紀所長(51)は「台風シーズンを迎え防災意識を高めていただきたいし、家族一緒に土砂災害について勉強する機会になれば」と来場を呼び掛けている。
夏休み企画は午前9時、11時、午後1時、3時から講義を開始。所要時間は約60分。申し込み不要で、無料。
問い合わせは、県土砂災害啓発センター(0735・29・7531)へ。
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