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元政府専用機パイロットが食パン専門店店主に転身

政府専用機パイロットを経て、食パン専門店を開店した島津さん

 旭川市に次いで道内2店舗目となる「焼きたて食パン専門店・一本堂千歳勇舞店」が6月下旬、市内勇舞8にオープンした。店主は航空自衛隊特別航空輸送隊の政府専用機パイロットとして活躍した島津喜芳さん(56)。空自パイロット経験者が航空関連企業に再就職する例が多い中、いったん就職を経てパン店開業の道を選んだ。「生地を作る時も『おいしくなれ』と思いを込めています」と充実した日々を送る。

 東京都出身の島津さん。高校3年時にパイロットを志し、航空学生として入隊。これまで千歳基地のほか、茨城県百里基地、愛知県小牧基地などで勤務。戦闘機のF4やF15、輸送機のC130、政府専用機のB747―400型機など、練習機も含めて10機種に搭乗した。政府専用機による飛行は3000時間に及んだ。

 政府専用機のパイロットとしては50回の任務運航に臨み、世界52カ国、82空港に寄港した。2005年に天皇皇后両陛下(現在の上皇上皇后両陛下)が太平洋戦争の激戦地、米サイパン島を訪問した際も副操縦士を務めた。

 17年11月に55歳で航空自衛隊を定年退職し、航空関連企業の管理職として勤務した。だが「独立心が強かった。元号の変わり目の今しかないと思いました」と振り返る。

 1992年に妻広美さん(52)と結婚して以来、朝食はパン。好きだが自分で作ったことはなかったものの、独立を考えた時、好きなパンを作る生業が頭に浮かんだ。

 加えて「一本堂」のフランチャイズ契約内容が営業時間や内装、製造・販売するパンの種類などを店主が自由に選択できる柔軟性に魅力を感じた。今年3月に企業を退社し、一本堂本店がある東京で修行した後、6月27日に開業した。

 島津さんの店で販売するのは塩味とバターの風味がマッチする「塩食パン」、道産バターと国内産純生クリームを使った豊かな風味が人気の「ホテル食パン」など6種類。10種類の穀物を用いた「The『穀』(ざっこく)食パン」や「低糖質食パン」など、健康志向を意識したパンもそろえる。価格280~450円(税込み)。開店以来の連日完売するほどの人気だ。

 午前4時に起床して、パンを焼き始める。焼き上がり時間を計算して複数種類のパンを焼く作業を一日続ける。「パイロット時代の秒刻みの任務は、焼き上がりの計算にも似ている。時間のマネジメントなど共通する要素があります」と経験が生きている。

 繁盛の中、思い描く理想のパン作りへ試行錯誤の日々だが、「連日買いに訪れてくれる地域の友人や知人に恵まれた」という。「周りの方々のご支援で(人との)つながりが深くなったと思う。地域に密着し、毎日食べたいと思ってもらえるパンを提供したい」。かつて操縦席で前方や計機盤を見詰め続けたように、きょうもパン焼き窯と向き合っている。

 営業時間は午前10時から午後6時。定休日は日、月曜日。パンの種類によって焼き上がり時間は違う。店ではジャムも販売する。

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