「大内人形マトリョーシカ」を産学公の連携で製品化
マトリョーシカを披露する冨田理事長(左)と山口所長(山口ふるさと伝承総合センターで)
山口市の大内塗漆器振興協同組合(冨田潤二理事長、5工房)は、国指定伝統的工芸品にもなっている大内人形を入れ子式にした「大内人形マトリョーシカ」を産学公の連携で製品化し、30日から注文の受け付けと販売を開始した。 同組合と県立大地域デザイン研究所(山口光所長)、市による連携プロジェクトの第1弾。丸みを帯びた愛らしい大内人形の特徴をそのままに、底をくりぬいて一回り小さい人形を順に納めた3重構造となっている。一番外側の人形は高さ7センチ、最小のものは4センチほど。漆で描かれる顔の表情や衣装の柄は工房ごとに異なり、それぞれの職人の技が生かされている。 地域に眠る文化資源を地域振興へとつなげるデザイン活動を展開している同研究所が昨年4月の設立とほぼ同時に事業を立ち上げ、市の委託事業として製品化を進めた。木のひび割れや変形を抑えながら極限まで薄く仕上げるため、3Dプリンターで試作を重ねたという。木地は仁保中郷の家具工房「鳳山堂」が所有する1000分の1ミリの精度を持つ切削加工用の木工機械で作った。 同日、下竪小路の山口ふるさと伝承総合センターでお披露目を兼ねた説明会があり、山口所長らが開発の経緯などを説明。人形3体のマトリョーシカとした理由を「3世代末永くという思いと、およそ100年伝わってきた大内人形の歴史と重なる大正、昭和、平成をイメージした縁起良い品。令和への改元記念として制作した」などとした。 当面、各工房での販売となるが、お土産や贈答品店でも買えるよう販路を拡大しいていく方針。冨田理事長は「ロシア由来のマトリョーシカではなく、大内の入れ子人形として世界的に有名にしたい」と期待を寄せた。 山口所長によると、7月末にはデザイン性豊かな漆器など第2弾となる開発商品の発表を予定している。 大内人形マトリョーシカの価格は男びな女びなともきり箱入りで各3万3000円(消費税別)から。金箔(きんぱく)の使用の有無など装飾によって各工房で価格は異なる。
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