酒問屋が日本酒開発 地域活性化に一役

酒問屋の堀忠商店が開発した日本酒「關の葵 交」
和歌山県田辺市高雄2丁目の酒問屋「堀忠商店」が、日本酒「關の葵 交(せきのあおい こう)」を開発した。地元産米を使用するなど、商品化には地域の多様な人々が携わっている。同店は「酒を通じた交わりから地域を活性化したい」と話している。4月1日から販売する。
同店は紀南の各店に酒を卸しているが、少子高齢化などによる消費減少に直面していた。専務の堀将和さん(33)は「ここでしか買えない酒をつくり、状況を打開したい」と2016年春に開発に着手。さまざまな「交わり」から自社ブランドを生み出した。 原材料は地元産の熊野米を使用。生産者の「熊野米プロジェクト」(田上雅人代表)はブランド化による農家の収入向上や休耕田の解消に取り組んでおり、日本酒の販売も地域貢献につながると考えた。 製造は、博物学者・南方熊楠の父が創業した「世界一統」(和歌山市)に依頼した。日本酒は酒米が一般的だが、杜氏(とうじ)と打ち合わせを重ね、主食用の熊野米100%で仕上げた。 ブランド作りは、デザイナーやライターらによる異業種チーム「TETAU」(田辺市今福町)と取り組んだ。熊野古道や田辺城下町のツアー、ワークショップを企画し、地域の人々を巻き込んで、ネーミングやデザインを作り上げた。 歴史との交わりもあった。田辺市はかつて熊野詣での宿場町として栄え、酒蔵も多かった。「關の葵」は、1922(大正11)年創業時の自社ブランド。昔のにぎわいを取り戻す酒をよみがえらせたいと、80年ぶりに名称を復活させた。 堀さんは「すっきりとしたやや辛口で、日本酒が苦手な人も飲みやすい。地元はもちろん、観光客にも味わっていただきたい。地元産の酒を飲みながら、大切な人と交わる時間を過ごしてもらえたらうれしい」と話している。 特別純米酒「關の葵 交」は紀南の酒店で販売する。価格は1・8リットルが3480円、720ミリリットルが1530円、300ミリリットルが730円。税抜き。 問い合わせは堀忠商店(0739・22・5050)へ。
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