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八重山上布を海晒し 受講生ら伝統の色止め

八重山を代表する伝統工芸の八重山上布の海晒し=11日午前、底地ビーチ

 八重山を代表する伝統的織物、八重山上布の「海晒(さら)し」が11日、石垣市川平の底地ビーチで行われた。上布を完成させるため織り上げた布を海水に浸すことで、汚れを落とし独特の色を定着(色止め)させる。海面を優雅に漂う上布は、かすり模様が濃い茶色に発色し鮮やかで深みのある色合いに仕上がった。海晒しは、八重山上布作りの後継者育成を目的に受講生3人がこれまでに織った布を使用した。

 3人は石垣市織物事業協同組合の講師らに指導を受けながら、織り上げた幅40㌢、長さ13㍍と8㍍の布を石灰を加えた海水に約30分漬け発色を待った。染色植物の紅露(クール)を捺染(なっせん)という方法で染めたかすりは赤茶からこげ茶へ変わり、苧麻(ちょま)糸の白地が色味を増し始めると、布を浅瀬の海に広げ竹竿で固定。4時間ほどつけて色止めした。

 受講生の嵩原綾子さん(39)は「繊細で時間のかかる作業。継承している先輩方は素晴らしいと思う」と話し、永野智美さん(48)は「自然の恵みを受けて仕上げる八重山上布。昔の人の知恵はすごい。作った作品を海につけて色が変わった瞬間は感動した」と感激した様子。

 海に晒した布は、水洗い後に乾燥させると反物として完成する。

 同日は、あいにくの曇り空で日ざらしとはいかなかったが、ビーチを訪れた観光客らは伝統の作業を写真に収めていた。

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