冥福と復興祈り「忘れない」 東日本大震災発生から8年
東日本大震災の発生から8年目を迎えた11日、庄内地方の各地で追悼行事が行われた。震災の記憶や教訓を語り継ぐ追悼集会「キャンドルナイト」や、被災地と交流がある中学生による合唱が繰り広げられ、犠牲者の冥福や復興を祈った。
庄内地方でのキャンドルナイトは、仙台市で被災した鶴岡市出身の女性の呼び掛けを受け、山形大農学部の学生や市民有志で実行員会(委員長・菊池俊一山形大農学部准教授)を組織して震災翌年の2012年に鶴岡市で始まった。酒田では、鶴岡での取り組みを拡大する形で翌13年から毎年、生涯学習施設「里仁館」(冨士直志館長)が中心となり、市社会福祉協議会、中通り・中町中和会両商店街振興組合、東北公益文科大と共に実施。
鶴岡市
鶴岡市では鶴岡協同の家こぴあを会場に開催。8年目の今年は、市民らにろうそくを手作りしてもらい1年かけて約1500個を準備した。震災発生時刻の午後2時46分の黙とうから始まり、同実行員会の加藤みちるさん(23)=山形大農学部4年、千葉翔子さん(22)=同=がそれぞれあいさつ。2人は、活動を通して感じた記憶の風化に触れながら、「震災を忘れず防災意識を持つ人が増え、多くの命が救われることを祈っている」「8年たっても被災者の苦しみや苦労は終わらない。自分にできることを探してほしい」などと語った。
その後の午後6時すぎからの点灯式では、強風にあおられては消えるろうそくの火を何度も付け直し、並べたキャンドルで「ともに」とのメッセージを作った。市職員による防災ミニレクチャーや、「キャンドルの夕べ」と題した市民有志による音楽演奏や合唱も行われた。菊池委員長は、「鶴岡でもいまだ41世帯113人が避難生活を送っている。震災を語り継ぐ場や機会として市民に浸透させていければ」と話していた。
酒田市
酒田市では市中町にぎわい健康プラザで「8年目のキャンドルナイトin中町」が行われ、公益大や同プラザでのワークショップに参加した市民による手作りキャンドル約1000個がともされた。
同プラザで行われたセレモニーでは、酒田詩の朗読会を主宰する阿蘇孝子さんによる詩の朗読、酒田マリーンジュニア合唱団の合唱に引き続き、参加者が見守る中、午後7時前にメーンキャンドルに点火した。中町モールに並んだキャンドルは、柔らかな炎で「3・11 想(おも)いをつなぐ」の文字を浮かび上がらせ、強風の中、参加者たちはその淡い明かりをじっと見つめていた。
公益大でのキャンドル作りを主催した災害復興ボランティアサークル「チームmoreE」の後藤千花代表(2年)は震災当時、中学1年生。「復興は進んでいるが、被災者の心は傷はまだまだ残っている。発生から8年がたち、私たち若い世代が震災を知らない世代に語り伝えていかなくては」と話した。
庄内町
庄内町では役場立川庁舎で立川中学校(中里浩也校長)の全校生徒97人が鎮魂と復興への祈りを込めて「ふるさと」などを合唱した。
被災者や被災地への祈りを込めた合唱は2015年から毎年実施している。同校は今年8月、余目中と合同で同町の友好町・宮城県南三陸町を訪れ漁港の整備を行ったほか、文化祭でワカメの販売などを行うなど、被災地を励ます活動を続けている。
この日、立川庁舎を訪れた生徒たちは地震発生時刻の午後2時46分に黙とうをささげ、職員らが見守る中「最上川舟唄」「ふるさと」の2曲を合唱し、鎮魂と復興への祈りを込めた歌声を響かせた。
生徒会長の2年生、長南快君(14)は「今日は被災地のみんなのために自分たちの歌を届けることができて良かった。自分たちの復興への思いが被災地にも届いたと思う」と話していた。

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