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釧路新聞社

炭鉱のまち釧路 家庭用石炭姿消す

手作業で進められている家庭用石炭の積み込み現場(釧路市港町)。この姿も間もなく見られなくなる

 「炭鉱のまち釧路」から、ついに家庭用の石炭が姿を消すことになった。釧路コールマイン(釧路炭鉱)が生産する石炭がこれまでの50万㌧体制から30万㌧体制へ減産し、しかも、現在釧路市興津に建設中の釧路火力発電所で使う粉炭として出炭されることから、家庭の暖房用石炭に回らなくなったのだ。1949年創業以来、石炭の卸しと小売りを行っている釧路市南大通5の2、釧路石炭販売(伊木繁樹社長)は顧客に3月末を持って、石炭の販売を終了する旨を通知した。

 釧路石炭販売は釧路コールマインから出炭される家庭暖房用の石炭を一手に取り扱っている。同社を通じて釧路の燃料店や販売業者に卸され、道内の帯広、札幌圏に出荷されていた。しかし、第1次オイルショックの1973年にピークの年間10万㌧に達した以降、家庭用燃料が石炭から石油に転換され、現在の取り扱い量は年間1500㌧と、石炭の需要は大きく落ち込んでいる。

 それでも同社から配達される顧客は現在147件。家庭用暖房で使用するところは減少の一途をたどりながらも、小規模な製造業の作業現場などで安価な石炭の需要が続いてきた。

 同社の浪岡修史営業課長は「石炭を家庭で燃やす場合はルンペンストーブですが、今ではホームセンターなどでも販売しておらず、地元の金属加工の会社に外注してきました。それも年間3、4個。石炭が家庭用暖房の主流だった時代とは大違いです」という。

 かつて、釧路コールマインの前身、太平洋炭礦の全盛期は炭鉱マンたちが家族とともに暮らした〝炭住〟(炭鉱住宅)の煙突からは白い煙が立ち上り、住宅街の道路の凸凹は石炭の燃えかすで埋められた光景が当たり前だった。

 市民の暮らしの中心にあった石炭は産業面でも重要な位置を占めていた。石炭販売の取り扱い終了の知らせを受けて、時代の流れとはいえ、惜しむ声が届いている。浪岡課長は「新潟の製造業者からは石炭の火力が一番いい。コークスでは火力が強すぎるんだと残念がる声が届いた」と語る。かつて水産都市釧路の産業の担い手だった中小水産加工業は減少。近代的な空調設備を整えた工場に転換されていったことから、赤々と燃えるルンペンストーブで冷えた体と指先を温めた光景もまた、今は昔の話となった。

 現在はガソリンスタンドと灯油、プロパンガスの取り扱いが主体となっている釧路石炭販売では今、釧路市港町の臨港営業所に在庫がある石炭の積み込み作業が続いている。1かごに50㌔の石炭を入れ込む作業は人力だが、この姿も3月いっぱいで終了。国内唯一の坑内掘り炭鉱の石炭を輸送する「石炭列車」が3月末で運休するのと、時を同じくして釧路の暮らしの中から石炭が消えていく。

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