ザトウクジラの観察を楽しむツアー客ら=24日、鹿児島県奄美市名瀬の小湊沖
鹿児島県の奄美大島近海でザトウクジラの来遊する季節が到来した。沿岸ではホエールウオッチングのツアーが催され、悠然と大海原を泳ぎながら潮を吹き上げたり、豪快にジャンプしたりと迫力満点のパフォーマンスで観光客らを魅了している。4月上旬ごろまで見られる。
ザトウクジラは体長12~14メートル、体重30トン超にもなる大型のヒゲクジラ。頭部のこぶ状の突起と長い胸ビレが特徴。夏場はロシアやアラスカなどの冷たい海で餌を食べ、冬季に繁殖や子育てのため、国内では沖縄や小笠原などの暖かい海域へ移る。
24日はホエールウオッチングのツアー客10人を乗せた船が奄美市名瀬の小湊港を午前9時前に出港。小湊沖でザトウクジラ2頭を確認し、頭上に水しぶきを上げる「ブロー」や潜水前に尾びれを水面に持ち上げる「フルークアップ」を繰り返す様子を楽しんだ。
香港からホエールウオッチングのために初めて奄美大島を訪れたレイ・リーさん(30)とジョーダン・ナンさん(24)は「インターネットで調べて来た。香港にはクジラはいないけれど、とても興味がある」「クジラが見られて最高です。また来たい」と笑顔で話した。
奄美大島近海でザトウクジラの出現状況を調査している奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)によると、2019年シーズンは昨年12月1日に初確認。今月24日までに68群115頭を確認した。
同島近海でクジラの出現確認数は増加傾向が続き、18年シーズンは前季より16頭多い699頭を確認。ホエールウオッチングのツアー参加者も前季を約600人上回る2185人で、ともに過去最多を記録し、冬季観光の目玉として注目されている。
興会長は「ホエールウオッチングが本格化して今年で6年目。参加者が毎年増えて周知されつつある。事業者の技術が向上し、お客さんの満足度も高まっている。冬場のアクティビティーとして定着することで、年間を通して奄美の魅力を楽しんでもらえるようになればうれしい」と話した。
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