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エゾシカ被害拡大の懸念も 全道の国・道有林が銃猟禁止に

森林で樹木の樹皮を食べるエゾシカ。狩猟禁止で食害が広がる心配も

 道内全ての国有林と道有林で15日から可猟期間の3月末まで、有害駆除を除く一般狩猟者の入林が禁止される。道有林は土日祝日を除くが、国有林は期間中、全面禁止。昨年11月に恵庭市の国有林で起きた猟銃誤射による死亡事故を受けた措置で、猟期に国有林と道有林で全域的に狩猟が認められないのは初めて。一方、今回の措置により繁殖力の強いエゾシカが増えて農林業被害が拡大する懸念も。シカ肉の供給が滞り、食肉加工場や料理店に影響が出ることを心配する声もある。

 道内の森林面積554万ヘクタールのうち、国有林が占める割合は55%、道有林は11%。道内の7割近い森林が猟銃使用の狩猟禁止の対象となる。

 国有林を管理する北海道森林管理局と道有林を扱う道は、誤射事故を受けてハンターに狩猟ルール徹底の認識を促し、再発防止を図るため、異例な措置に踏み切った。苫小牧市や白老町など東胆振の約6万3000ヘクタールの国有林を管理する胆振東部森林管理署は「猟銃は一歩間違えば人を殺傷してしまう危険な道具。関係法令と狩猟ルールに照らして自らの行動を省みる機会にしてほしい」と話す。

 同管理局は今後、事故の原因究明と北海道猟友会からの再発防止策の内容と実施状況を確認した上で、2019年度の狩猟可否について検討する。道も19年度の春までに生息数を調べ、7月のエゾシカ対策有識者会議で今後の対策を示すという。

 禁止による影響を心配する声も上がる。エゾシカの増加による農林業の食害の拡大だ。北海道猟友会苫小牧支部長の荒木義信さん(80)は今回の措置に「襟を正し安全狩猟の原点に立ち返らなければならない」と受け止めながらも、「シカが増えて被害が広がってしまう恐れもある」と指摘する。道はエゾシカ増加による被害対策で有害駆除の捕獲事業を進め、生息数の抑制に努めてきたが、道生物多様性保全課は「(一般狩猟禁止により)今冬のシカ捕獲数は減少するかもしれない」と話す。同課よると、17年度の捕獲数は約12万8000頭。このうち有害駆除は約8万8000頭、狩猟は約4万頭で、頭数抑制や管理にハンターが果たしてきた役割は大きいからだ。

 また、野生鳥獣肉(ジビエ)として人気が高まってきたシカ肉の市場へ供給量が減る懸念も。恵庭市にエゾシカ肉処理施設を持つ「すまい工房北海道」の湯峯和幸社長(60)は「猟銃事故の後、ハンターからのシカ肉が入らなくなっしまった」と頭を抱える。同社は北広島市内でシカ肉料理専門店も営んでおり、「契約ハンターが民有地で狩猟したシカ肉の仕入れに努めるが、肉を十分に確保できずに損失が出れば、他の事業で賄うしかない」と言い、今後の経営的なダメージに不安を抱いている。

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