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荘内日報社

新たな「庄内産ワイン」創出の動き

 庄内地方で新たなオリジナルワインの創出に向け、ワイン醸造用ブドウの栽培が本格化している。企業と個人4事業者が新たに栽培に取り組み、一部では既にワインを商品化している。「食の都庄内」に厚みを増す動きでもあり、庄内唯一のワイナリー「月山ワイン」のブランド力向上とともに、新たなワイナリー誕生が「庄内産ワイン」の産地ブランドへとつながることが期待されている。

 庄内のワイナリーは、1979(昭和54)年に製造開始した庄内たがわ農協「月山ワイン山ぶどう研究所」(鶴岡市越中山)だけ。それが、ここ数年で4事業者が相次いで醸造用ブドウ栽培の取り組みをスタートさせ、庄内産オリジナルワイン創出の動きが活発化してきている。

 このうち建設会社の山本組(鶴岡市下川、山本斉社長)の農業生産法人「窪畑ファーム」は2013年から、砂丘地でブドウ栽培を始めた。現在1・2ヘクタールに赤ワイン用のヤマ・ソービニオン、カベルネ・ソーヴィニヨン、白ワイン用のシャルドネなど計2000本栽培。既に苗の購入や栽培指導でつながりのある山梨県のワイナリーに委託醸造して窪畑ファームブランドのワインを造っており、今季は赤と白合わせて1600本のワイン、ぶどうジュースやジャムを製造。今季のワインは年明けにも販売を始める。

 明治維新後、旧庄内藩士たちが開墾した鶴岡市羽黒町松ケ岡地区で、ワイナリー開設を目指すのが鶴岡市のエル・サンの農業生産法人「エルサンワイナリー松ケ岡」(早坂剛社長)。17年から同地区の畑に赤ワインの原料となるピノ・ノワールやメルロー、白のシャルドネを植え始めた。初年度は1500本、18年は白のソーヴィニヨン・ブランを加え800本、19年はさらに3500本を植え、将来的には全体で1万本まで拡大する計画。19年夏には醸造施設も松ケ岡に整備し、20年には醸造をスタートさせる計画だ。エル・サン会長でもある早坂さんは「先人たちが切り開いた畑を守りながら、2世代、3世代と歴史を重ねるワイナリーを中心に、新たな食文化を根付かせたい」と意気込む。

 日本酒酒蔵の楯の川酒造(酒田市山楯、佐藤淳平社長)も17年からブドウ栽培を本格化させた。シャルドネやソーヴィニヨンなどの品種を、酒田市黒森とブドウ栽培が盛んな鶴岡市櫛引地域でそれぞれ3000本の栽培を行っており、関連会社で櫛引地域にある蔵元「奥羽自慢」で醸造を計画する。佐藤社長は「日本酒、ウイスキーとともに海外で日本産ワインの評価が高まっている。庄内産ブドウで品質の高いワインを造りたい」と話す。

 個人でワイナリー・オーナーを目指すのが、外資系金融機関勤務の日向理元さん(54)=東京都世田谷区在住。日向さんの父親は鶴岡市藤島地域出身。庄内への移住を見据え、ワイナリー経営を志向。「ブルゴーニュに負けない世界レベルのワイン」を目指し、酒田市八幡地域の鳥海山南麓の湯ノ台で16年から栽培を始めた。ピノ・ノワール、シャルドネを中心に1・7ヘクタールで栽培しており、将来的には10ヘクタール規模を計画。20年には畑近くに醸造所を完成させる考えだ。日向さんは「冷涼で寒暖差がはっきりしている湯ノ台には、ブルゴーニュやシャンパーニュの秀逸なワインに肩を並べられるポテンシャルがある」とワイナリー立ち上げへの思いを語る。

 国内産ブドウによる「日本ワイン」の需要が高まる中、「月山ワイン」とともに庄内産ワインの新たな動きが注目される。

エルサンワイナリー松ケ岡が、鶴岡市の松ケ岡開墾場周辺で栽培するブドウ畑(左)窪畑ファームが砂丘地栽培のブドウで醸造したワイン

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