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胆振東部地震から2カ月、窯全壊も再出発決意 厚真の登志陶房・石山さん一家

支援を背に窯の再建を誓う石山俊樹さん(左)と長男の容さん

 胆振東部地震で陶芸窯が全壊し、保管していた作品の大半を失った厚真町朝日の「登志陶房(としとうぼう)」が地震発生から2カ月を迎え、再建に向けて歩みだした。陶芸家石山俊樹さん(70)が家族と運営する窯元。長年かけて築いた創作の場を失ったショックから一時は廃業も頭をよぎったが、仲間やファンらの支援を受け、再出発を決意した。石山さんは「お世話になっている人たちに背中を押された。またここで頑張ってみようと思う」と力を込めた。

 登志陶房は石山さんが、同じく陶芸家の妻寿子さん(64)、長男の容(たすく)さん(38)と主宰。石山夫妻が20、30代の頃に数年間、島根県松江市の布志名焼舩木窯(ふじなやきふなきがま)で修行、1975年に厚真町幌内で陶房を立ち上げた。

 9年後に今の場所に移転し、地域に根差した創作活動を続けてきた。東京で会社勤めをしていた容さんも30歳の時に厚真に戻り、両親と同じ道に進んだ。

 石山夫妻は工房と同じ敷地内にある母屋で生活してきたが、地震当日はそこで強い揺れに襲われた。家具や家財道具がすべて倒れ、家も一部分が基礎から沈み込み、大きくゆがんだ。ブロックを積んで作った工房は無事だったが、陶器や上薬を保管していた棚は倒れ、置いてあった物が重なるようにして散乱。約7000個のれんがを積んで作った大切な登り窯も、補強のために組んだ鉄骨ごとすべて崩壊してしまった。

 元来、明るく前向きな性格の石山夫妻も被害の大きさにぼうぜんとするしかなかった。一時は「もうここでは作陶できないかもしれない」と絶望し、千歳市の容さん宅や苫小牧市の次男・昂さん宅に避難。日中の空いた時間をひたすら片付けに費やした。

 そんな中、40年前に石山夫妻と一緒に修行に励んだ島根県の陶芸家12人が集結。登志陶房の再建を支援するため、9月下旬と10月初旬に松江市内で作品の展示販売会を企画した。取り組みを知った陶芸愛好家や石山さんの旧友などが会場に詰め掛け、支援の気持ちを込めて作品を購入。8月下旬から作品の展示会を行っていた札幌市の器専門店・青玄洞でも、地震後に登志陶房ファンが来店し「何か力になれば」と陶器を買い求めていったという。以前個展を行った韓国からも義援金が届いた。

 周囲の温かい支援を背に片付けを進めるうち、工房内が少しずつ元の様子を取り戻していき、希望が湧いたという、石山さん一家。「ご恩は仕事で返さなければ」と作陶再開へ、まずは生活基盤を整えるべく、壊れた母屋に替わる仮設的な住み場所となるトレーラーハウスの利用を町に申請した。早ければ今月中にも敷地内に同ハウスが運び込まれる予定。住環境が整い次第、電気釜の修理や上薬の作り直しなどを経て、創作活動に取り掛かる考えだ。

 来年中の登り窯再建を計画。れんがはすべて崩れ落ちてしまったが、粉々になっているもの以外は再利用して元の形に戻す考えだ。

 現在、苫小牧市日吉町の飲食店ダンディライオンで登志陶房の陶器を展示販売中。地震前から同店や青玄洞に展示されていたため、難を逃れた作品だ。来年初夏には個展の再開も目指す。

 石山さんは「応援してくれる人がいる以上、ここでやめるわけにはいかない。頑張るしかないね」とほほ笑む。容さんも「地震は悲しかったけど自分にとっては一から窯を作り上げる経験を与えてくれた出来事でもある。マイナス面ばかり見ずに、この経験を糧にしていきたい」と力強く語った。

難を逃れた登志陶房の陶器=苫小牧のダンディライオン

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