工藤さんが中学生に合唱指導 来月の東北音楽研究大会で披露
酒田市出身の指揮者で、国立音楽大客員准教授の工藤俊幸さんが11、12の2日間、同市内の中学校3校で合唱指導を行い、“後輩”たちに直接、歌や音楽を楽しむ心を伝えた。
この取り組みは、希望ホール自主事業企画運営委員会(関谷順委員長)が市の経費負担で多彩な文化芸術活動を展開する自主事業の一環。工藤さんによる合唱指導は昨年度に市内の4中学校で実施したのに続き2年目で、11日に第二、第六、12日に第四の計3中学校で実施。
11日午前、工藤さんの母校である第二中学校(岩本諒子校長)では、学年ごと全生徒が1時間ずつ指導を受けた。このうち3年生110人は、工藤さんが、同市出身の詩人、故・吉野弘さんの詩「空の色が」に曲を付けた同タイトルの混声合唱曲のレッスンを受けた。
この詩は、空の色と海の色が同じという情景に、他人と心が通じ合うときめきを重ねたもので、初出は1996年1月1日付の荘内日報。工藤さんは、来月16日に酒田市で開かれる東北音楽研究大会に向けた合唱曲を依頼され、制作した。
レッスンで工藤さんは「吉野さんは政治の矛盾や、社会的に立場の弱い人を助けたいという思いを込めた詩をたくさん作った」「本来は空と海は違うものなのに、同じということに感動している」など、吉野さんの人となりや詩の言葉の意味を丁寧に解説しながら指導。生徒たちは心を込め、豊かな表現で歌った。
3年の合唱リーダー・高瀬美来さんは「詩の意味をあんなに深く考えたことはなかった。深く考えることで、歌もとても良くなった」と謝辞を述べた。
工藤さんは初の母校での音楽指導に「予想していたより、しっかり歌えていた。『空の色が』は、吉野さんの世界観を損なわず、中学生の気持ちにぴったりはまるように作った。酒田の子どもたちに好きになってもらえたらうれしい」と話した。同曲は来月の研究大会で、市内の中学生たちが合唱を披露、初演となる。
工藤さん(右)が故郷・酒田の中学生たちに合唱指導=11日、母校・第二中の3年生へのレッスン
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