故郷の平穏、大太鼓に込め 厚真出身の畑嶋春美さんが慰問公演

和太鼓松村組の一員として、大太鼓をたたく畑嶋さん(右)
胆振東部地震による土砂崩れで亡くなった厚真町朝日の畑島武司さん(86)、富子さん(81)の親戚で、同町出身の畑嶋春美さん(25)=神戸市在住=が18日、全国各地でコンサート活動を行うプロの和太鼓演奏グループ「和太鼓松村組」(神戸市)の一員として故郷での公演に参加した。多数の死者を出し、復旧が進められる町内の様子を目の当たりにし、「1日でも早く被災した地域が元に戻ってほしい」と、鎮魂と激励の大太鼓をたたいた。
春美さんは、高校卒業まで同町京町で過ごした。武司さんや富子さんは父方の親戚。年末年始に親戚一同で顔を合わせた際には、かわいがってもらったという。「自分の思い、素直な気持ちが出る」と太鼓の魅力を知り、小学1年生の頃から厚真郷芸保存会の一員として、和太鼓をたたいてきた。
松村組との出合いは2012年。東日本大震災の復興支援を目的に行われた北海道ツアーの一環で、厚真町内で演奏を耳にした。1995年の阪神淡路大震災で、被災者の激励と神戸の復興のエネルギーを全国に発信することを目的に発足した団体。和太鼓やマリンバなどを組み合わせた独自のサウンドに心を打たれ、メンバー入りを決心した。
道教育大岩見沢校を卒業し松村組の門をたたくが、松村公彦代表(56)から「何があっても演奏する覚悟」を求められた。演奏への情熱が上回り、悩んだ末、2016年4月に入団。研修生から始め、17年11月に神戸文化ホールでデビューした。
松村組として活動を続けてきたが、今回の地震に伴う厚真町の惨状を知り「言葉にできない思いがあった」と明かす。演奏当日に全壊した実家を見たほか、無事だった家族とも再会できた。土砂崩れが発生した道道上幌内早来停車場線はよく通った道で、犠牲者の中には顔見知りもいた。
9月9日から松村組の北海道ツアーが行われていたが、慰問を目的に急きょ厚真町での演奏が決まった。厚真町総合福祉センター前で、同組が和太鼓を中心に4曲を披露。春美さんは、大太鼓「神」(カムイ)を打ち込み、鎮魂と励ましの太鼓の音を会場に響かせた。
聴いていた避難者らは手拍子で盛り上げ、目に涙を浮かべる人の姿もあった。演奏終了後、メンバー7人が礼をすると、会場からは「春美ちゃん頑張って」「ありがとう」と励ましの声も上がった。
春美さんは「大太鼓には力がある。厚真、安平、むかわなど被災地が平穏になるよう思いを込めて打った」と話した。
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