上伊那産の稲わら 大相撲の土俵に

納品に向け「こも」の仕上がりを確認する酒井さん
上伊那産の稲わらを使ったわら細工を製作、販売する飯島町の合同会社「南信州米俵保存会」が、大相撲で使用される俵作りに携わることになった。日本相撲協会に土俵用の資材を納入する東京都の業者から依頼を受けたもので、俵に仕上げる前の「こも」の状態で納品。上伊那産の俵は年6回の本場所をはじめ各地の巡業や相撲部屋の土俵にも使用される予定といい、11月の九州場所から採用される見通しだ。
本場所の土俵に使用される俵は直径4・5メートルの円形に並ぶ「勝負俵」16俵や東西南北に設置する「徳俵」4俵、円の外側にある「角俵」28俵など合わせて66俵。稲わらを縦36センチ、幅120センチの長方形に編んだ「こも」に、呼び出しが土や砂を詰めて俵に仕上げている。
「こも」は東京の業者から委託を受ける県外の会社が製作してきたが、職人の高齢化や後継者不足により継続が困難な状況になっていたという。業者側で新たな作り手を探していたところ、飯島町内で開かれる「米俵マラソン」用に大量の米俵を納品している同保存会の実績が買われ、7月に製作の打診があった。
土俵用の俵には伊那谷に伝わる古代米「白毛もち米」の稲わらを使用する。米俵マラソンの発案者で保存会代表社員の酒井裕司さん(43)によると「普通の稲より丈が長く、しなやかで丈夫なのが特徴」といい、上伊那地域で「白毛もち米」を栽培する上伊那農民組合(南箕輪村)や農事組合法人田原(伊那市)の協力を得て製作に着手した。呼び出しによる試作品の検査では品質にお墨付きを得ており、生産が軌道に乗れば「こも」の状態で年間約5500枚の需要が見込まれるという。
「米俵の技術を受け継ぐ活動が国技を支える取り組みにつながった。こんな名誉なことはない」と酒井さん。「地域おこしにつながるような大きなプロジェクトにしていきたい。白星の白と粘り強さの験担ぎで白毛もちを使った特産品の可能性も広がる」と大相撲を通じた地域振興にも期待を寄せている。
関連記事
鶴岡市でアジア初開催 国際クマムシ学会開幕 世界各国の研究者120人集う
アジア初開催となる「第16回国際クマムシ学会」が23日、鶴岡市覚岸寺の市先端研究産業支援センターで始まった。クマムシの研究者として知られる慶應義塾大先端生命科学研究所の荒川和晴所長が同市に誘致した。2...
ワイン城漫画 手に取って ザ・本屋さんなどで発売 池田町民有志が制作
十勝ワインの歴史を知ってもらおうと、池田町民有志が制作した漫画「ゼロからのチャレンジ!! ~わたしたちの町にお城がある理由~」が、ザ・本屋さん(本部帯広)各店や池田ワイン城でも販売されるようにな...
カサン節の調べで聴衆魅了 島唄教室「山ゆり会」発表会 奄美大島龍郷町
島唄教室「山ゆり会」(森山ユリ子会主)の発表会が22日、鹿児島県龍郷町のりゅうゆう館であった。「町制施行50周年記念」を冠に、東京教室・奄美教室の会員約30人が日ごろの練習の成果を発表。奄美大...
地元音楽家が復興願った曲披露、沖縄戦の慰霊の日に合わせてコンサート【山口】
太平洋戦争末期の沖縄戦犠牲者を追悼する「慰霊の日」(23日)を前に、山口市阿知須のいぐらの館で22日、沖縄音楽のコンサート「古民家ミーツオキナワ」が開かれた。沖縄音楽を愛する宇部、山口市の2団体...