体操元日本代表・小堀由貴さん 第二の人生で子ども指導-来月教室開講

エアートランポリンを指導する小堀さん
かつての体操日本代表が、苫小牧の地で第二の人生をスタートさせる。札幌市出身の小堀由貴さん(40)。10月に苫小牧市内で3歳~小学3年生を対象にした体操教室を開講する。「エアートランポリン」(エアトラ)と呼ばれる空気で膨らませたビニール製運動器具も市内で初導入。「生徒も指導者も、いつも楽しく笑って取り組むことができる教室づくりをしたい」と思いを語る。
小堀さんは、4歳から札幌市内の体操クラブに通い、小学6年生から高校3年生まで7年連続で北海道選手権総合優勝。15歳で早くも日本代表に選出されると、中国・上海で開かれた第1回東アジア大会の女子跳馬優勝を皮切りにインターハイ、全日本選手権の同種目も制するなど跳馬のスペシャリストとして名をはせた。
日本体育大に進学。2年のときに同級生でアトランタ五輪出場の菅原リサらと共に挑んだ全日本選手権女子団体では、大会13連覇中だった名門朝日生命体操クラブを破り、見事栄冠をつかむ快挙も達成した。ただ、「勝ったときはうれしかったけれど、それは一瞬」。結果を求められる日々の中で、大好きだったはずの体操がいつしか重圧に変わっていた。
大学卒業後は指導者の道に進み、オリンピックメダリストの池谷幸雄氏が立ち上げた「池谷幸雄体操倶楽部」の初代コーチに就任。「自分と同じ思いはさせたくない」と体操の楽しさを伝えようと努力してきたが、選手を伸ばそうとするほど「自分が嫌だったことを押し付けていた」ことに気付き、苫小牧移住を機に一度競技から距離を置いた。
転機が訪れたのは10年ほど前。知り合いに誘われ、苫小牧ジュニア体操クラブの練習を見学したときだった。子どもたちの競技に対する真摯(しんし)な姿勢を一目見て、「一緒に体操がしたい」。女子のコーチに就き、きょうまで選手たちと向き合ってきた。
「体操が楽しいと思わせてくれた苫小牧ジュニアに恩返しを」との思いが幼児体操教室開講の決め手になった。楽しいの意味を持つ英語「CHEERFUL」を冠に据えた一般社団法人チアフルを今年6月に立ち上げ。来月からスタートする教室は月4回を1クール、1回に付き50分を見ている。安全に身体能力向上を図ることができるエアトラのほか、鉄棒や長縄なども駆使した運動を通して参加者の基礎体力向上を図っていく。
すでに8月に3回の体験教室を実施。参加した子どもたちはもちろん、保護者からの関心も多く得ることができたのは収穫だ。
「子どもたちの未来への可能性を広げたい。体操だけではなく、アイスホッケーや野球など、将来いろんな競技に取り組んでいくための下地になれば」と小堀さんは期待する。チアフルの代表理事を買って出た父芳貴さん、共にコーチとして教室を支える教え子の元全国選手・堀川華恋さん(22)らたくさんの支援者のためにも粉骨砕身を誓う。
「できないことができたときに見せる子どもたちのキラキラした目が好き。初めて天職だって思えたんです」。開講の日を今から心待ちにしている。
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