宇部市内唯一の百貨店閉店へ
年内で閉店することが決まった宇部井筒屋
山口井筒屋は31日、宇部店(通称宇部井筒屋)の12月31日での閉店を発表した。売り上げの減少に加え、設備の改修に多大な経費が見込まれることから、市内唯一の百貨店は、半世紀の歴史に幕を下ろす。中心市街地の商業の顔が消えることになり、各方面から惜しむ声が聞かれた。 宇部井筒屋は1969(昭和44)年、ちまきや百貨店から引き継ぎ、現在地に開店した。77年に建て替え工事を実施し、93年に増床と駐車場ビル建設工事を実施。2008年に、山口井筒屋宇部店に改めた。 売上高は1994年に、最高の72億円を記録した。しかし、少子高齢化による人口減少、大型店の出店による競争激化に伴い、右肩下がりが続き、ここ4年は毎年、前年比5%減という厳しい状況に追い込まれた。昨年は28億円と、ピーク時の4割以下にまで落ち込んだ。2年前に、経常利益が赤字に転落した。 現在の建物は、鉄筋コンクリート造りで、地上4階、地下1階建て。売り場面積は8053平方㍍。老朽化による改修工事が必要な時期に来ており、この2、3年で耐震補強、受電、空調、防災設備などの対応に4億円程度が掛かることが、経営判断に大きく影響した。建物は営業終了後、解体する予定。 従業員数は正社員16人、契約社員38人。外商は現状を確保し、来春には市内にサテライトショップをオープンするなどして、なるべく雇用を維持していく方針という。 市役所で記者会見した入江壮行社長は「49年間ご愛顧いただき、感謝している。営業を続けるため努力をしてきたが、赤字が継続する中で、今後の収益改善の見通しは立たない。山口本店に経営資源を集中することにし、宇部店は営業終了という苦渋の決断に至った」と語った。 久保田后子市長は「長年にわたり、中心市街地の中核となる商業施設として、地域経済の発展に多大な貢献をいただいており、突然の閉店の方針を残念に思う。市役所周辺地区の新たなまちづくりを進めており、新庁舎建設に伴う発展を期待していた。地域の消費者、経済のため、新たなサテライトショップの開設、外商の充実など引き続き、宇部店の存続をお願いするとともに、従業員の雇用継続も要請していきたい」と、コメントを発表した。 宇部商工会議所の安部研一会頭は「中心市街地の顔、地方都市の商業界の雄として営業されてきただけに残念だ。閉店の影響が最小限になるよう取り組んでいく」とした。 新天町名店街協同組合の熊谷満之理事長は「これから新庁舎が建設され、新しいまちづくりの歩みが始まっていこうとする中で、残念なニュースだ」、近くに住む常連客の50歳代の女性は「40年近く、お中元やお歳暮の購入でお世話になっていた。とても困るし、寂しさも感じる」と話した。
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