諏訪市の竹屋みそ工場で行われたロケ（諏訪圏フィルムコミッション提供）

長野県の諏訪地方でロケが行われた映画「盤上の向日葵」が３１日、岡谷市の岡谷スカラ座をはじめとする全国の映画館で一斉に公開される。公開に先立ち、９日夜に関係者と報道機関を対象とした試写会が同館で行われ、「諏訪地域にとって特別な作品」として諏訪地方観光連盟の「諏訪シネマズ」に認定されることも報告された。

監督・脚本は熊澤尚人さん。柚月裕子さんの同名小説を映画化した。物語は重厚なストーリーで描かれる。山中で発見された謎の白骨死体。遺体とともに見つかった希少な将棋の駒を手掛かりに、天才棋士「上条桂介」に事件の容疑がかかる。重要人物として、賭け将棋で裏社会に生きた男の存在が浮かび上がり、やがて桂介の壮絶な生い立ちが明らかになっていく―。

ロケは諏訪市の竹屋みそ工場や片倉館、旧岡谷市役所庁舎、諏訪湖など、諏訪地方１５カ所で昨年６～７月にかけて行われた。主人公の桂介が幼少期を過ごす、物語に欠かせない舞台として作中に印象強く登場する。キャストは坂口健太郎さん、渡辺謙さん、佐々木蔵之介さん、土屋太鳳さん、高杉真宙さん、音尾琢真さんほか。

ロケを誘致した諏訪圏フィルムコミッション（ＦＣ）によると、諏訪地域でのロケには多くの行政職員がエキストラで参加したほか、地元住民が美術のボランティアスタッフとして「雪」の装飾を手伝うなど、地域と映画スタッフが交流を深めながら撮影されていったという。

同ＦＣの宮坂洋介さんは「これまでと同様に、今作品の撮影にも多くの地元の協力があった。諏訪の評判が積み重なって、今のロケ誘致につながっている」と感謝。映画の公開を前に「地元で撮影された作品を、地域のみんなで盛り上げよう」とＳＮＳなどを使った話題の広がりにも期待を寄せる。

諏訪シネマズの認定式は１４日、熊澤監督を招いて実施する予定で、同作品が認定９作目となる。レイクウォーク岡谷では１５日から、同作品のパネル展（笠原書店主催）が行われる。