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挑戦実る米「陸稲」 雨の自然栽培 15アール収穫 本別・西仙美里

 本別町西仙美里の高橋康子さんの畑で7日、陸稲(りくとう・おかぼ)の刈り取り作業が終わった。清水町で陸稲栽培に取り組む澤山あずささんから刺激を受け、肥料や農薬を一切使用せず雨の恵みだけで育てる「自然栽培」に初挑戦。こうべを垂らし、黄金色に輝く稲を仲間8人で「元気に育ったね」など言葉を掛けながら丁寧に収穫した。

昔ながらの「はさ掛け」を前に、刈り取った陸稲を手にする高橋さん(左)ら本別陸稲研究会メンバー

 高橋さんが陸稲栽培を始めたのは、澤山さんを本別に招いた3月の勉強会がきっかけ。澤山さんと夫の直樹さんは昨年、「ななつぼし」と「きたくりん」を清水町で育て、合計700キロを収穫。高橋さんは十勝産の「お米」に魅力を覚え、本別でも挑戦しようと考えた。

 夫の秀和さんにトラクターを運転してもらい、5月16日に播種(はしゅ)。本業は黒毛和牛の生産者ということで、デントコーンの播種機を転用し、15アールの畑に「きたくりん」の種をまいた。

 5月30日に発芽、7月28日に出穂と順調に成長した。ただ、農薬を使わない自然栽培の上、今年は雨の日が多かったため「一に草取り、二に草取り、三四がなくて五に草取り」(高橋さん)と、畝間(うねま)に生える雑草との闘いに苦労したという。猛暑の中、汗だくになりながら、仲間に手伝ってもらうなどして日々管理した。

 稲刈りは「本別陸稲研究会」と銘打ったメンバー8人で3日から実施。「ありがとう」「元気に育ったね」「頑張ったね」などと声を掛けながら、思い思いに鎌を入れた。

 刈り取った稲は麻ひもでくくって束にし、天日と風による昔ながらの「はさ掛け」で自然乾燥。2週間ほど乾かした後、穂先からもみを落とす「脱穀」や、もみ殻を取り除いて玄米にする「もみすり」を行う予定だ。

 高橋さんは「みんなが一生懸命に草取りしてくれたおかげ。おいしいご飯を炊きたい」と笑顔で話した。

 十勝農業史(井上寿著)によると、十勝は大正期に自給用作物として陸稲の作付けが拡大したが、戦後は食料事情が好転し急減、昭和30年代の半ばに姿を消した。最近は清水のほか、浦幌や音更の畑作農家が栽培に挑み、本別でも家庭菜園の規模で手掛ける人が出ている。

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