米国ロサンゼルスのホテルに米大リーグ・ドジャースに所属する大谷翔平選手の巨大壁画を描いたことで知られる米国人アーティスト、ロバート・バルガスさんが、酒田市の酒田港東ふ頭交流施設「ＳＡＫＡＴＡＮＴＯ（サカタント）」で酒田舞娘（まいこ）をモチーフにした壁画制作に臨み9日、完成した。縦約4メートル、横約5メートルのサイズ。バルガスさんは「日本のみならず世界に向け、酒田舞娘を発信するきっかけになれば」と話している。

　バルガスさんはロサンゼルス・ドジャースで活躍する大谷選手の壁画を描いたことで広く日本でも知られる。ホテル一帯は写真撮影の絶好スポットになるほどの人気ぶり。酒田舞娘の育成・継承に取り組む芸妓・小鈴姐さんは昨年7月、酒田舞娘と共にロサンゼルスを訪問し日本のアニメやゲームなどを紹介する「アニメエキスポ」に出演。この際、あでやかな舞い姿に感銘を受けたバルガスさんと懇意となったという。

　地元・酒田の企業などの協力を受けて今回の壁画制作が実現。バルガスさんは今月1日に酒田入りし、制作は翌2日にスタート。トタン板をキャンバスに筆を巧みに操りながら水性ペンキで彩色、ほほ笑みを浮かべる小鈴姐さんと酒田舞娘の顔を描いた。8日昼には矢口明子酒田市長らが制作現場を訪れ、バルガスさんと懇談。大谷選手の壁画がデザインされたＴシャツ、実際に使用した筆をプレゼントされた矢口市長は「酒田に新しい名所ができた。ぜひ多くの人から見てもらいたい。頂いた筆などは市役所内で多くの人の目に付くところに展示したい」と。酒田舞娘の鈴華さんと鈴千代さんは「柔らかな感じがする。酒田舞娘を多くの人に知ってもらうきっかけになれば」と話した。

　バルガスさんは「より多くの人に舞娘さん、芸妓さんの存在や素晴らしさを伝えられたら。これからも酒田舞娘を国内外に広める手伝いをしていく」と話した。

　同日夜には同市のガーデンパレスみずほで、小鈴姐さんが代表を務める酒田小鈴合同会社（同市日吉町二丁目）が主催した歓迎パーティーが行われ、出席者約50人が見守る中、矢口市長がバルガスさんに対して壁画制作の感謝状を手渡した。完成した壁画は当面、サカタントに展示する。

自ら描いた壁画を前に矢口明子市長、酒田舞娘らに囲まれるバルガスさん（右から3人目）＝8日午前、サカタント