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【戦後80年 島々の記録と記憶】 飛行場、輸送船「火の海」に 徳之島

沖縄防衛の最前線として米軍の攻撃にあった「浅間陸軍飛行場」の滑走路跡地=7日、鹿児島県天城町

 戦局が悪化し、「絶対国防圏」の見直しがなされた1943年、日本軍は鹿児島県徳之島を沖縄防衛の最前線として位置付け、天城村(現・天城町)に浅間陸軍飛行場の建設を計画した。同年10月ごろに着工し、島内外から大勢の住民を動員して建設を進め、44年6月までに長さ1500メートル、幅60メートルの滑走路が完成。軍は同月、古仁屋町(現・瀬戸内町)の大島要塞指令部を廃止し、本部は徳之島へ移った。45年3月以降は知覧から沖縄へ出撃する特攻隊の中継基地となった。

◆狙われた飛行場

 台湾や南西諸島を襲った44年10月10日の大空襲。徳之島では、建設中の浅間飛行場が最初に狙われた。天城町戦後70周年記念誌によると、午前8時20分と午後2時10分、2回爆撃を受けた。

 午前の爆弾は滑走路2カ所に直径16メートル、深さ3メートル以上の穴を開け、午後来襲したグラマン戦闘機21機は滑走路や掩体壕(えんたいごう)にあった飛行機計28機を破壊。集積してあったガソリン入りのドラム缶を爆破したため、飛行場一帯は「火の海」と化した。

 徳之島3町誌はこの空襲について「日本軍は一機も姿を見せず、守備隊の反撃もなく、住民は失望した」などと記載している。

◆激しさを増す空襲

 45年3月20日、米軍が沖縄へ接近以降はけん制のために浅間飛行場への空襲は次第に激しさを増した。頻繁に空襲を受け、周辺集落の家屋の多くが焼失。時折、夜間爆撃もあった。5月以降は亀津、母間、池間、反川、花徳も空襲を受け、6月は神之嶺の小学校校舎が一部空襲で焼けた。

 同年7月10日にも大空襲が。午前10時すぎ、天城岳方面から飛来した140余りの敵機は飛行場に大型爆弾を落として滑走路を破壊し、周辺集落へ機銃掃射と焼夷(しょうい)弾攻撃を加えた。

◆相次ぐ輸送船の撃沈

 徳之島周辺の海域では米軍潜水艦の魚雷攻撃を受けた輸送船の沈没が相次いだ。「富山丸」は44年6月29日、沖縄への増援部隊として約4600人の陸軍兵らを乗せて南下する途中、徳之島町亀徳沖で攻撃を受けて大爆発を起こし沈没。徳之島町誌によると、一帯は「火の海」となり、凄惨(せいさん)な光景が繰り広げられた。犠牲者は合計3730人に上る。

 疎開船「武州丸」は本土に向けて航行中の同年9月25日、十島村中之島沖で攻撃を受けて沈没。152人が乗船しており、徳之島町亀徳、井之川、山、尾母集落の学童や女性ら148人が犠牲になった。うち15歳未満の子どもは77人だった。

 両事件を含む輸送船撃沈事件は、軍の機密事項とされて箝口(かんこう)令が敷かれ、長く公表されることはなかった。

◆歴史学び、惨禍繰り返さない

 7月7日から8月8日にかけて、徳之島3町で計4人の戦争体験者に取材した。「二度と戦争を起こしてはいけない」と全員が口をそろえた。伊仙町の87歳の男性は「歴史を学ぶことは未来につなぐための過去と現在との対話。正しく奄美群島の歴史を知り、平和について考えてほしい」と訴えた。

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