国の文化財に追加指定へ 大島防備隊跡(瀬戸内町)や義名山の森(伊仙町) 審議会答申

瀬戸内町で追加指定される3遺跡のうちの一つである大島防備隊第18震洋隊基地跡(瀬戸内町教育委員会提供)

伊仙町で追加指定される義名山の森琉球石灰岩地森林植物群落(伊仙町教育委員会提供)
国の文化審議会(島谷弘幸会長)は20日、鹿児島県瀬戸内町の「奄美大島要塞跡及び大島防備隊跡附(つけたり)大島需品支庫跡」(旧名称・奄美大島要塞跡)と、同県伊仙町の「徳之島明眼(みょうがん)の森・義名山(ぎなやま)の森琉球石灰岩地森林植物群落」(同・徳之島明眼の森)について、国指定文化財への追加指定と名称変更をするよう阿部俊子文部科学大臣に答申した。官報告示を経て正式に指定される。
奄美大島要塞跡は2023年3月に国の文化財に指定。今回、追加指定されるのは▽1923(大正12)年に開庁、41(昭和16)年配備の海軍大島根拠地隊から発展した大島防備隊の本部跡(瀬相)▽44(昭和19)年に防備隊に編入した第18震洋隊基地跡(呑之浦)▽1895(明治28)年に設置された海軍施設の大島需品支庫跡の水溜跡(久慈)―の3カ所。既に指定を受けている安脚場砲台跡や西古見砲台跡、手安弾薬本庫跡と合わせ6カ所を国指定とし、名称も変更する。
徳之島明眼の森は、2013年に指定された伊仙町犬田布にある琉球石灰岩地のアマミアラカシ群落を中心とする自然林。今回追加指定する同町伊仙の義名山の森琉球石灰岩地森林植物群落は明眼の森の南東に位置し、水源地として水神が祭られるなど神聖な場所として守られてきた。多くのシダ類と広葉樹の亜熱帯多雨林としての典型的植生が見られ、アマミアラカシのほか、絶滅危惧種や希少種も多数生息している。
追加指定答申を受け、瀬戸内町の鎌田愛人町長は「町の守るべき宝として認識し、町民にも訪れてもらって身近にあるシマ(集落)の歴史を知ってほしい」、盛島正行教育長は「本町に残された近代遺跡や他の文化財を、郷土教育や歴史教育、平和を考える場として保存活用していきたい」とコメント。
伊仙町の伊田正則町長は「先に指定を受けた明眼の森とともに森林環境の保全を進め、教育資源や観光資源として積極的に活用したい」、幸田順一郎教育長は「私たちにとって大事な森が、貴重な生態環境を有する森として評価されたことは大変素晴らしい。今後は、私たちが未来の子どもたちに守り伝えて行きたい」との談話を出した。
鹿児島県内ではこのほか鹿児島市の「旧集成館附寺山炭窯跡関吉の疎水溝」について、発掘調査で判明した石庫(いしぐら)の跡を追加指定する。
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