現代フランス画壇を代表する画家の一人として活躍、2022年5月に79歳で死去した豊橋市出身の松井守男さんを紹介する長編ドキュメンタリー映画「コルシカのサムライ 愛を描く」(仮題)の制作が大詰めだ。海外の映画祭出品を目標にクラウドファンディング(CF)が進む。関連した特別イベントがこのほど、東京都の神田明神文化交流館で開かれた。松井さんのファンら約60人が参加した。

松井守男さん
1967年武蔵野美術大学卒業後に渡仏。コルシカ島にアトリエを構え日仏での創作活動を続け、2003年レジオンドヌール勲章を受けた。「光の画家」と呼ばれ、国内外で作品を発表。寺社とのコラボレーションをはじめ、子どもや障がいのある人などを対象にしたワークショップなどにも精力的で、東日本大震災の被災地支援にも意欲的だった。豊橋特別ふるさと大使も務め「豊橋から文化の発信を」と常々語っていた。
映画は「彼の作品と生きざまを後世に残していきたい」と実行委員会が制作。松井さんを15年撮りためてきた映像や関係者の証言などをまとめ、26年末の国内公開を目指している。英語版、日本語版の制作を目標にCFを立ち上げ、第1弾の目標額500万円は達成した。続いて、来年のカンヌやニューヨークなど海外の映画祭へ出品するための活動資金を確保しようと、ストレッチゴールとして700万円を目標にした第2弾を今月30日まで実施中だ。
関連イベントは3部制で開かれた。講談師の神田桜子さんが講談版「松井守男一代記」の前半部分をダイジェストで紹介。フランス政府の国費留学生として渡仏するも苦労を続けたこと、最晩年のピカソとの交流、面相筆との出合いや代表作「遺言」について時折ユーモアを交えながら朗々と語り上げた。

講談版「松井守男一代記」を披露する神田さん=いずれも神田明神文化交流館で
吉峯美和監督が映画化のいきさつについて説明、「描いている映像が残っているのは貴重なこと。何かが生まれる瞬間に立ち会うことができる、そのドキドキするような瞬間が記録されていますので、ぜひ見ていただきたい」とあいさつした後、ドキュメンタリー映画の特別編集版(35分)を上映した。作品の核となる部分を抜粋したもので、松井さんの人となりや創作の世界観、芸術哲学を掘り下げる内容。性愛や人間愛を昇華させた作品づくりへの情熱、未完となっている京都の寺のふすま絵制作の模様などに密着、松井さん自身や関係者の声などを交え、心に訴えかける音楽とともに紹介した。上映後には来場者から大きな拍手が沸き起こった。
試写会後は松井さんと親交があったメディアコーディネーターの城田達康さんと映画の撮影監督を務めた南幸男さんとのトークイベントがあった。映画の裏話や松井さんとのエピソードなどが披露された。

映画に関するトークショー
海外の映画祭出品目標にCF
16日現在で集まっている金額は614万4000円。プロデューサーの村山若葉さんは「試写を見た皆さんが『完成品が見たい』と楽しみにしてくれている。松井画伯が追求した光の表現をより多くの人に届けていきたい。カンヌの『ゴールデン・アイ賞』(最優秀ドキュメンタリー賞)を目指したい」と語る。CFの詳細はサイト=QRコード=から。

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