「ザビエルは商社マンでもあった」 直木賞作家、安部さん歴史講演会【宇部】

身ぶり手ぶりを交えて講演する安部さん(市福祉ふれあいセンターで)
直木賞作家、安部龍太郎さんの講演会「大航海時代の日本と山口-世界史から見た日本の戦国時代」は17日、宇部市福祉ふれあいセンターで開かれた。歴史や文学の愛好者ら300人が来場し、国際的な視点による郷土の歴史を興味深く聞いた。松巌園、渡邊裕志さん主催。
安部さんは福岡県八女市出身の69歳。安土桃山時代から江戸時代にかけて活躍した絵師、長谷川等伯の生涯を描いた「等伯」で2013年に直木賞を受賞。大航海時代の日本の戦国大名を取り上げた「宗麟の海」「海の十字架」などがある。
講演では、欧州諸国の植民地政策が日本の歴史を大きく転換させた要因として、鉄砲の伝来、キリスト教の布教、南蛮貿易を挙げた。1549年に鹿児島に上陸したポルトガルから宣教師フランシスコ・ザビエルが山口にやってきた目的について「キリスト教の布教に加えて、世界有数の産出量を誇っていた石見銀山(現在の島根県大田市)を支配していた周防国大名の大内義隆に、銀の輸出も含めた南蛮貿易を認めさせるという目的があったと説明した。
ザビエルは宣教師であると同時に外交官、商社マンでもあったとし「日本史と世界史を別々に教えてきた日本の歴史教育では、こうした歴史の事実を知ることができず、国際人としての日本人は育てられない」と話し、2020年度にスタートした高校の歴史科目「歴史総合」に期待を寄せた。
講演を前にした篠﨑圭二市長との対談では、安部さんが宇部発展の礎を築いた渡辺祐策について「明治の元勲のような立派な風貌だが、他の元勲たちと違って地元に残り、明治維新の理想を地元で実現した素晴らしい人物」と述べると、篠﨑市長は「ぜひ祐策さんを主人公にした小説を」と促し、会場の笑いを誘った。
関連記事
鶴岡市でアジア初開催 国際クマムシ学会開幕 世界各国の研究者120人集う
アジア初開催となる「第16回国際クマムシ学会」が23日、鶴岡市覚岸寺の市先端研究産業支援センターで始まった。クマムシの研究者として知られる慶應義塾大先端生命科学研究所の荒川和晴所長が同市に誘致した。2...
ワイン城漫画 手に取って ザ・本屋さんなどで発売 池田町民有志が制作
十勝ワインの歴史を知ってもらおうと、池田町民有志が制作した漫画「ゼロからのチャレンジ!! ~わたしたちの町にお城がある理由~」が、ザ・本屋さん(本部帯広)各店や池田ワイン城でも販売されるようにな...
カサン節の調べで聴衆魅了 島唄教室「山ゆり会」発表会 奄美大島龍郷町
島唄教室「山ゆり会」(森山ユリ子会主)の発表会が22日、鹿児島県龍郷町のりゅうゆう館であった。「町制施行50周年記念」を冠に、東京教室・奄美教室の会員約30人が日ごろの練習の成果を発表。奄美大...
地元音楽家が復興願った曲披露、沖縄戦の慰霊の日に合わせてコンサート【山口】
太平洋戦争末期の沖縄戦犠牲者を追悼する「慰霊の日」(23日)を前に、山口市阿知須のいぐらの館で22日、沖縄音楽のコンサート「古民家ミーツオキナワ」が開かれた。沖縄音楽を愛する宇部、山口市の2団体...