アンモニア利用水素製造システム社会実装図る 遊佐町と岐阜大など連携協定
遊佐町は9日、アンモニアを利用した水素製造システムの社会実装試験事業に取り組む岐阜大学(吉田和弘学長)や同大スタートアップ企業・エクサジュールテクノロジーズ(遊佐町遊佐、大橋孝章社長)と、町内での実装試験や水素利用などを目的とした協定を締結した。小型のアンモニア改質装置(水素製造機)や水素発電機の開発・製造を行い、民間への浸透を図るほか、将来的にはアンモニアを利用したCO2回収技術で生成された合成燃料を使い、町内のバイオマス発電所などとも連携していきたい考え。
同大は、内閣府の「総合科学技術・イノベーション会議」による「戦略的イノベーション創造プログラム」でアンモニアを利用した水素製造システムの研究開発に取り組んでいる。液化アンモニアは水素ガスに比べエネルギー密度が高く、輸送や貯蔵の点で優れる。同容量での発電量は水素ガスの約4倍といい、脱炭素エネルギーの一つとして注目されている。
今回の協定は、アンモニアから金属触媒を使って水素を取り出す同大の技術を活用し、エクサジュールテクノロジーズが社会実装に向けた試験調査、水素製造機や水素発電機の開発や製造を行い、2027年から町内施設での実装を目指すもの。3者は連携し、来春までに環境省「脱炭素先行地域」事業の指定も視野に入れる。実装場所は未定だが、27年度初頭の開業を目指す多機能型休憩施設「遊佐パーキングエリアタウン(PAT)」や鳥海温泉・遊楽里が検討されているという。
この日は町役場で締結式が行われ、松永裕美町長、同大の神原信志副学長、大橋社長ら関係者が出席。松永町長が「協定締結を契機に、産業や防災など水素の利活用を検討していきたい。合わせて子どもたちの科学への関心も育てたい」、神原副学長は「単なる実験ではなく、社会実装がゴール。自然と多様な再生可能エネルギーを持つ遊佐町でスタートアップができる。多くの人の協力をお願いしたい」、大橋社長は「全く新しいアンモニアの利活用事業。日本や世界に遊佐モデルとして発信できるよう頑張っていきたい」とそれぞれ話していた。
締結後は神原副学長がアンモニア改質による水素製造とその活用法などについて講話した。

協定書を取り交わす、左から松永町長、神原副学長、大橋社長
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