諏訪大社上社の大祝(おおほうり)の即位式で供された膳の献立として記述の残る”幻の鹿料理”が、577年の時を経て現代によみがえった。腕を振るったのは、長野県茅野市金沢で「カントリーレストラン匠亭」を経営し、猟師としても活動する青木和夫さん(70)だ。諏訪市博物館、神長官守矢史料館、郷土史研究家などの協力を得ながら、資料を手掛かりに計3種の料理を再現。地域に伝わる鹿肉食の文化を広く発信したい思いから同店の「信州鹿之国御膳」のメニューの一部として提供し、好評を博している。
諏訪信仰をテーマにしたドキュメンタリー映画「鹿の国」にも出演した青木さん。これまでに「守矢文書」を通じ、1448年の即位式で出された鹿肉料理として▽やきしか(焼鹿)▽なましか(生鹿)▽なうあい(脳和え)│を把握していたものの「あくまでも名称だけで、料理の内容や調理過程は分からなかった」という。
転機となったのは昨年冬に行われた同作の試写会。諏訪信仰を研究する三好祐司さん(46)=茅野市北山=と出会い、諏訪郡中洲村(現諏訪市)出身の郷土史研究家、伊藤富雄(1891~1968年)の著作集を紹介された。
青木さんは同著から、諏訪大社の神饌の調理を担った世襲制の「鹿人」(ろくびと)や各料理の調理方法に関する記述を発見。「宝物を掘り出したような気分でした」と当時の興奮を振り返る。
その後、記述を頼りに再現メニューを試行錯誤。味付けに関する記述はなかったことから鹿肉の味を引き立たせる「匠亭流」の調味を施した。
「焼鹿」は食べやすい大きさにした鹿肉をゆで、串にさして焼いた。一見、刺し身をほうふつとさせる名前の「生鹿」はその実、鹿肉をゆでた料理で、みそと梅肉を合わせた。「脳和え」は本来、ゆでた鹿肉を紙で包んで湯通しした脳みそと和えた料理だったが、脳みその代わりに食感の似た豆腐を使った。
料理に「ゆでる」工程があることについて青木さんは、日ごろ野生鳥獣を調理する立場から「こうすることでクセが抜け、肉が軟らかくなる」などと解説。「鹿肉の性質を深く知っていたからこそできる、理にかなった調理法だ」とし「こうした食文化が根付いていたことを地元の人にも知ってもらいたい」などと話していた。

カントリーレストラン匠亭で提供されている「信州鹿之国御膳」
「信州鹿之国御膳」は鹿のから揚げやスモークのマリネなど即位式の再現メニューを含む計8品が並ぶ。
同店は土日祝日営業。時間は昼の部が午前11時30分~午後2時、夜の部は午後5時30分~同7時30分。「信州鹿之国御膳」は税込3500円で仕込みの都合上、2日前までの予約制(2人以上から)としている。予約、問い合わせは同店(電話0266・73・4862)へ。
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