中川村の南向発電所と米山家住宅主屋 国登録有形文化財に 長野県

昭和初期の優れた外観の南向発電所(上)と本棟造りの米山家住宅
国の文化審議会は21日、ともに長野県中川村内にあり、昭和初期の建築様式が特徴的な中部電力の水力発電所「南向(みなかた)発電所本館」(葛島渡場)と、江戸末期の建築とされる本棟造りの民家「米山家住宅主屋」(片桐中央)を登録有形文化財に登録するよう、文部科学相へ答申した。近く答申通り登録される見通しで、村内での登録は、現在は国重要文化財の「坂戸橋」以来で2、3例目。
南向発電所は、実業家で「電力王」と呼ばれた福澤桃介(1868~1938年、福澤諭吉の婿養子)が建設を手掛け、29(昭和4)年に完成した。建物は、同じく桃介が造った国重要文化財の「読書発電所」(木曽郡南木曽町)に似た昭和初期の建築様式をそのまま残す。
鉄筋コンクリート造で、当時、欧米を中心に流行したアールデコ調の装飾。美しい外観は、先端がアーチ状の縦長の大きな窓が特徴。優れたデザイン性や、天竜川に築かれた最初期の水力発電施設であること、住民から親しまれている地域のランドマークであることなどが評価された。
登録を目指す住民有志や村などで組織する協議会が2023年10月に発足。学習会や広報に力を入れ、中電に同意、協力を求めてきた。会長の宮下健彦村長は「『美しい村』をうたう村の象徴で、地域の産業や文化の一端を担ってきた宝。近代構造物として坂戸橋と合わせて観光の面からもPRしていきたい」と喜びを語った。
米山家住宅は、言い伝えや建築様式などから江戸末期に建てられたと推定。木造平屋一部2階建てで、中南信地域に見られる本棟造り。その特徴の緩やかな傾斜の屋根の切妻造りや、地域特有の間取りを配する。内部から突き出したはりがひさしの一部を支えているのも特徴。養蚕をしていたことから、2階は養蚕のための換気や蚕の排せつ物を外に捨てる「蚕糞落とし」などの工夫も見られる。
村内を中心とした古民家の家主らでつくるグループの活動の一環で登録を目指した。「維持が大変で解体した家もあり、残っていても手遅れの場合が多いなかで価値が認められてうれしい」と所有者の米山永子さん(48)。「地域として文化を大切にしていることのアピールになれば」と話す。
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