白神ウインドパワー風力発電所の運転開始祝う 能代市

「白神ウインドパワー風力発電所」の運転開始を祝った通電式(能代市柳町のプラザ都で)
能代市や地元企業などが出資する「白神ウインド合同会社」(代表社員=大森建設)が同市と八峰町の農地などに建設し今月1日から運転している「白神ウインドパワー風力発電所」の通電式・竣工(しゅんこう)式が14日、同市柳町のプラザ都で行われた。25基の大型風車から成る県内最大規模のウインドファームで、令和4年7月の着工から2年8カ月かけて完成させた。風車の地中熱を活用した農業支援や、住民が投資で参加できる市民還元型ファンドなど特色のある取り組みで持続可能な地域共生モデルを目指す。
新発電所は▽落合▽比八田・朴瀬▽峰浜▽水沢──の4発電所で構成し、市に17基、町に8基建てた。1基当たりの出力は4200㌗、高さ147・3㍍で独エネルコン社製。連系容量9万6600㌗で一般家庭7万世帯分を賄える。投資額380億円。FIT制度で東北電力ネットワークに20年間全量売電する。
農山漁村再生可能エネルギー法に基づき農地を活用して進める県内初の風力発電事業で、風車の排熱や基礎地下の地中熱を利用して農業用ハウスに供給する実証実験を実施。地域住民が事業に参加し利益を享受できる「市民還元型ファンド」を立ち上げるなど地域貢献策を進める。
式典には施工業者や行政関係者ら約200人が出席。通電式では大森三四郎代表職務執行者、佐竹知事、福原淳嗣衆院議員、斉藤市長、堀内町長、自治会長らが発電のスイッチを押すセレモニーを行い、拍手で安全運転を願った。
祝賀会で大森代表は、農業と自然エネルギーの共生を理念に掲げ、風車の近くに農業用ハウスを建設して冬でも農作物を作れる環境を整備するとした。環境保全の取り組みとして、渡り鳥への配慮やシャドーフリッカー(風車の影のちらつき)などへの対策も講じて自然との調和を図るとしたほか、「事業許可を得るに当たり、経済産業省から地元とのコミュニケーションを大切にして末永く貢献してもらいたいとのことだった。これらもしっかりと頑張っていく」と意気込みを述べた。
祝辞では佐竹知事、福原衆院議員、斉藤市長、堀内町長が「電力の地産地消」や地域活性化などに期待を寄せた。元請け業者で保守管理も担う日立パワーソリューションズ(茨城県日立市)の藤井淳行取締役常務執行役員が、渡り鳥のルートに配慮して風車の配置を変更するなど建設の苦労に触れながら「安全な稼働に向けて全力を尽くす」と誓った。
式典前には、同市比八田の農地で地中熱を農業用ハウスに供給する実証研究を行っている現地を視察。大森建設と県立大が共同研究で進める先進的な取り組みに関心を示した。
白神ウインド社は大森建設をはじめ秋木製鋼、能代資源、幸和リース、JA秋田やまもと、秋田・北都銀行、東北電力など県内外18社が出資する特別目的会社。運転開始後は日立パワー社と大森建設が共同で保守管理する。
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