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荘内日報社

絹遺産を活用した地域づくり

 日本の近代化を支えた絹産業の遺産や資産を生かした地域づくりを目指す「シルクロード・ネットワーク鶴岡フォーラム2018」が24日、鶴岡市先端研究産業支援センター・レクチャーホールで開かれ、専門家による講演や全国各地の事例報告を通じ、絹遺産を活用した地域づくりを探った。

 公益社団法人横浜歴史資産調査会(横浜市)、NPO法人街・建築・文化再生集団(群馬県前橋市)が主催し、2015年からフォーラムを開催しており、鶴岡市では初めて。今回のフォーラムは、「『シルクロードでつなぐ街と人』―サムライゆかりのシルクから絹遺産の再生・継承を学ぶ」をテーマに開催し、全国各地から約90人が参加した。

 事例報告では、養蚕から加工まで絹織物生産の一貫工程が国内で唯一残る鶴岡市、戦前に設立された旧農林省蚕糸試験場新庄支場(エコロジーガーデン)が残る新庄市、生糸の集積地として栄えた福島市、養蚕業や製糸業が盛んだった長野県千曲市など9市町の担当者やNPO法人の関係者が事例報告した。

 このうち鶴岡市は、旧庄内藩士約3000人による松ケ岡開墾と桑園整備、日本最大の蚕室群建設の歴史や、昨年の松ケ岡開墾場を中心にした「サムライゆかりのシルク」の日本遺産認定、絹文化の保存・継承に向けた鶴岡シルクタウン・プロジェクトなどを紹介した。

 松ケ岡開墾とその後に鶴岡の産業を支えた絹織物について、元鶴岡織物工業協同組合理事長の田中尹さんは「西郷隆盛の勧めもあって開墾に取り組み、62万5000本のクワの苗木を3年がかりで植え、10棟建設した日本一の大蚕室は今も5棟残る。開墾は全員が無給で取り組んだのが特徴で、(西郷の弟の)西郷従道からは2―3年間、個人的に金銭の支援を受けていた。大正から昭和初めには、絹産業が鶴岡全体の工業製品出荷額の9割近く、従事者は6割近くを占める産業に成長した」と解説。地元の絹文化を学ぶ鶴岡中央高生はファッションショーなどの取り組みを紹介し、「シルクガールズとして先輩たちの思いを引き継ぎ、つないでいきたい」と意欲を語った。

 事例報告に先立ち、国土交通省景観・歴史文化環境整備室課長補佐の富所弘充さんが「歴史まちづくりの取り組みを通じた地域活性化」、文化庁文化財調査官の梅津章子さんが「歴史・文化を活(い)かしたまちづくり―文化財行政の役割」と題して基調講演。東北公益文科大大学院特任教授の高谷時彦さんが「鶴岡まちなかキネマ―木造絹織物工場を映画館に」のテーマで基調報告。前日の23日には、各地からの参加者がまちなかキネマや松ケ岡開墾場、国指定重要文化財の旧風間家住宅丙申堂、致道博物館など、鶴岡の絹遺産を見学した。

全国から関係者が集まり、絹遺産を生かしたまちづくりを探った=24日、鶴岡市先端研究産業支援センター

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