鹿大島嶼研、分室開設10周年 地域貢献テーマに記念シンポ 奄美市名瀬

奄美分室設置10周年を記念して開かれた鹿児島大学国際島嶼教育研究センターのシンポジウム=15日、鹿児島県奄美市名瀬
鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センターは15日、奄美分室設置10周年を記念したシンポジウム「地域貢献を地域で考える」を鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZAで開いた。大学や行政の関係者、一般の参加者ら約160人が来場(オンライン含む)。講演や座談会を通して、地域密着型の同分室の歩みを振り返るとともに、今後の活動を展望した。
同分室は2015年4月に同市名瀬柳町の旧奄美市水道課庁舎(現アマホームPLAZA)に設置され、19年に名瀬港町の本場奄美大島紬会館に移転。鹿大の奄美群島における地域活性化の中核的拠点として、教育や研究、社会貢献活動を推進してきた。
シンポジウムで山本雅史センター長は「今後どのような教育研究活動を展開していくべきか、地元の皆さまからご意見を頂きたい」とあいさつ。続いて前センター長の高宮広土氏が基調講演。高宮氏は分室担当として赴任した設置当時を振り返り「この10年は土台づくりで、これからが第1歩」と呼び掛けた。龍郷町で行った貝塚時代の遺跡の調査結果なども紹介し、専門の先史人類学の立場から奄美・沖縄地域の世界的な珍しさについても解説した。
その後3人の研究者が登壇。同分室の牧貴大特任研究員は奄美大島に生息するコウモリの洞窟調査や出前授業などの普及啓発活動を紹介。同センターの客員研究員制度を利用し奄美でバナナの調査を行った長崎大学多文化社会学部の佐藤靖明准教授は「奄美分室があることで外部の研究者も活動しやすい」と述べた。鹿大医学部地域医療学分野の網谷真理恵准教授は、学生たちが地域の社会や文化的な側面に触れながら学ぶ離島医療実習を紹介した。
安田壮平奄美市長や松藤啓介県大島支庁長らも加わった座談会では、来場者から寄せられた要望などについて議論。地元自治体と大学が連携した「共同キャンパス」の構想や、高校生や中学生、小学生の学びや進路検討につながる教育活動などについて意見が交わされた。鹿大の岩井久理事(企画・社会連携担当)は「奄美分室が世界の島嶼研究の拠点として、人や分野の垣根を越えた交流のプラットフォームとなれば」と語った。
来場した県立大島高校1年の女子生徒3人は「中学生の頃にもこうした機会があれば」「奄美分室の詳しい話を聞いたのは初めて。もっと早く知りたかった」「(植物や生き物観察など)体験型の勉強会が増えると、興味の幅も広がると思う」とそれぞれ話した。
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