県内外の若者7人、下帯姿で〝荒行〟 能代市二ツ井町・高岩神社「裸参り」

厳しい寒さの中、7人の若者がさらしの下帯と白足袋で冷水を浴びて身を清めた裸参り
能代市二ツ井町荷上場の高岩神社境内で12日夜、小正月行事の「裸参り」が行われた。県内外から参加した7人の男性は、いてつく寒さの中、身を切るような冷水を浴びて身を清めてから社殿へと駆け上がって参拝し、心願成就を祈った。
裸参りは、徴兵検査前の若者が「武運長久」を祈願して行ったのが始まりとされる伝統の小正月行事。参加者となる若い世代が町外に流出したため昭和32年から一時中断したが、平成2年に復活し、現在は荷上場青年会(伊藤樹会長)が毎年旧暦1月15日に実施している。
以前は藤琴川で水を浴びて身を清めてから、高岩山山頂近くにある同神社まで約4㌔の夜道を駆け登って参拝していたが、県道西目屋二ツ井線荷上場バイパスの完成で川岸の様相が変わってしまったことから、神社境内下にある手水舎で水浴びしてから社殿でおはらいを受けている。
今年は県内外から20~30代を中心に7人が参加。水浴びをする頃にはみぞれ交じりの空となり、底冷えが厳しく身を切るような寒さは厳寒期真っ盛りを改めて思い起こさせる天気。それでもさらしの下帯と白足袋、わらじ姿の7人が順番に「セイヤッ」の掛け声とともに水を浴びて身を清めた後、かがり火と雪灯籠のろうそくの明かりだけが照らすほの暗い参道を駆け上がり、社殿でおはらいを受けて家内安全、商売繁盛などを祈願した。
今回は、藤里町のゲストハウスに滞在したことをきっかけに伝統の行事があることを知ったというアイルランド出身のカヒル・ベネンさん(37)=横浜市在住=と、カナダ出身のジェームズ・ハウエルさん(38)=同=も参加した。
2人は日本語学校で日本語を学んでいる友人同士で、ハウエルさんによると、カナダでは冬に、健康づくりや遊びの一つとして氷が張った湖に入ることがあるが、裸参りはそれらとは意味合いの違う神事とあり、神妙な面持ちで臨んだ。
家内安全などを願ったハウエルさんとベネンさんは、気合とともに頭から冷水を浴び、震える体で一連の神事をやり遂げると、「寒かったけど、面白く、貴重な体験だった」と口をそろえ、日本の冬の伝統行事を身をもって体験したことに充実した表情を見せていた。
同青年会の伊藤会長は「参加希望者はもっと多かったが、水浴び用の水を確保できるか見通せなかったため、7人だけになった。来年からはもっと参加できるようにしたい」と話したほか、多くの人が関心を寄せていることに感謝し、「これからも伝統の行事を守っていきたい」と継承を誓っていた。
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