食卓への打撃、根幹も 不作の野菜、続く高値 長野県

「まだまだ高値」とこぼしつつ、キャベツを仕入れる小売店主
昨年末からキャベツをはじめ野菜の高値が続いている。ここ数年、あらゆる原材料、燃料の値上がりが止まらず食卓への打撃が強まる中、「ついに食の根幹の農産物まで」と嘆きの声が各所で聞かれる。年末年始に比べれば価格が下がってきたこともあり、転嫁し切れない値上がり分を自己負担で耐える業者も少なくないが、産地の不作の影響は3、4月ごろまで尾を引くと予想され、苦しい状況はしばらく続きそうだ。
■値上がり分を転嫁し切れず
長野県諏訪、中信地方で青果の卸売りを手掛ける諏訪青果物卸売センターによると、キャベツは一時期、6~8玉入り10キロケースの卸値が5000円、例年の5倍もの高値を付けた。現在も2~3倍以上の価格で推移し、希望する量の確保も難しい状況が続いている。高値や品薄は他の野菜、果物でも見られ、遠藤直由社長は「長い営業経験の中で初めてのこと」と漏らす。
同社は、時には仕入れ原価のまま利益ゼロで卸して小売店の苦境を支えるが、取引先の中には生産者からじかの買い上げに走る業者もいて販売量は減り、経営は板挟み。遠藤社長は「赤字にならなければいい」と腹をくくる。
辰野町下辰野の青果店・伴野商店の伴野栄一社長は「仕入れの値上がり分を全額転嫁することもできず、配達に要するガソリン代を捻出するのがやっと」とこぼす。地元住民の台所を支える岡谷市川岸駒沢のスーパーヤマダイの宮澤輝男社長は「仕入れ値が高すぎる時は原価すれすれ、薄利でも売れそうな値を付ける」と身を削る。
納入先を抱える小売店の中には「求める買値に少しでも近づけるため、大手スーパーの特売コーナーで買って品をそろえることもある」とまで追い込まれた状況だ。
■料理の質と量維持にも苦慮
食を提供する現場も苦慮している。キャベツも主役の駒ケ根名物・ソースかつ丼。専門店の明治亭(駒ケ根市)、片田秀昭社長は「原料が次々に値上がりし、ついに米、キャベツまで…。毎日のように価格が変わり、コスト管理がむちゃくちゃだが、料理の質と量は絶対に変えない」と踏ん張る。
決められた予算の中で作る学校給食も同様だ。本来、毎日の献立は一カ月単位で定まるが「納入業者と価格情報をこまめに交わして週ごとに見直し、あまりに高い時は他の野菜に切り替えている。使う食材が急きょ変わるので、栄養価と量を維持するために毎日数字とにらめっこ」(茅野市教育委員会学校栄養士)と疲労がにじむ。
■需給や価格の安定化望む声
こうした消費市場の状況に対し、地元の生産者からは「消費者が目にする店頭価格と、生産者が受け取る価格との間には相当の差がある」との指摘が出ている。
JA信州諏訪の小平淳代表理事組合長は「肥料や農薬など資材費の値上がりで生産コストは他の産業と同様に上がっているのに、農産物の価格は数十年間、大して変わっていない。農家は物価上昇に取り残されている」と訴える。
流通関係者の間には「地産地消が理想だが、生産者が高齢化で年々減り、生産量が落ちている。異常気象もあり、青果物を取り巻く環境は厳しい」(遠藤社長)との見方もある。
地元農協は生産者価格の適正化と、産地の維持を最命題に掲げる。需給や価格の安定化が消費者、生産者双方から望まれている。
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