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服縫い74年、最期まで 帯広・三島洋服調整所の三島さん

 「この板の上で死にたい。目標は90歳まで」。三島洋服調整所(帯広市緑ケ丘東通東14)の店主三島住男さん(88)は、ミシンが設置された台に目をやり笑う。重い病を抱えながらも、しっかりとした口調だ。縫い始めて2月で74年。最期まで洋服に向き合い続けるつもりだ。

仕事への思いを口にする三島さん

丁寧な直し愛され 重病も「仕事続けたい」
 1936年上士幌町生まれ。上士幌小、上士幌中卒。6人きょうだいの三男だった三島さんは中学卒業後、「手に職を持て」と言う父の意向と、「自分でも背広やズボンが縫える」との考えで洋服の仕立屋にでっち奉公へ出た。既製品が出回っておらず、服が十分にない時代。魅力的な仕事に映った。

 帯広に来たのは15歳の時。朝6時から雑巾がけなどの掃除を始め、深夜1、2時まで働き詰めの日々が始まった。散髪が50円、銭湯が10円の時代。住み込みで働いて月にもらえるのは100円の小遣いのみだった。「大変で、食べるのが唯一の楽しみだった」

 チョッキから始め、徐々に力を付けズボンを縫えるようになり、20歳ほどで背広も仕立てられるようになった。他の仕立屋の技術も学ぼうと3店舗ほど渡り歩き、25歳ごろに独立。現在の場所に店を構えた。

ジーンズを縫製する三島さん

仕立て減り転換
 独立して2年ほどたつと既製品が出回るように。仕立ての注文がなくなってきたため服の調整のみ担うことに決めた。「直しに来るお客さんのために、職人として体に合わせて直してやりたい。金もうけで雑な仕事はしたくない」。喜んで帰る客の姿にやりがいを感じ、年中無休で縫い続けた。簡単な縫製は代金を受け取らないことも。100種類以上の糸をそろえ、しわの付き方も見ながら縫製する。ジーンズや礼服、時には毛布まで。札幌からも客が訪れるようになった。

 しかし70歳を過ぎて肺気腫が見つかり、ぜんそくに加え心不全や腎不全も抱えるように。昨年は11月に1カ月ほど入院した。朝、昼、晩と計20錠ほどの薬を飲み体調を維持する。医師からは、透析を受け、ペースメーカーを入れることも勧められた。

 それでも「隠居はしたくない。できる限り仕事をしていたい」。常連客からは「やめないでほしい」という声も寄せられる。少しでも長く生きるよりは、少しでも長く縫い続けたいという気持ちを主治医も尊重した。

「一本気」の職人
 「人の仕事が気にくわない。一切、人が使えない」。独立後はずっと一人で縫ってきた。財務管理など陰で支える妻トミ子さん(81)は、「一本気で真面目。たんぱら(短気)だけど人から好かれている」と目を細めて三島さんを見詰めた。

春駒通に面して建つ三島洋服調整所

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