アキモク鉄工の「マイクロバブル」洗浄機、哨戒機の塩害腐食防止に活用へ 能代市
アフリカの海賊対処活動に従事する哨戒機で活用されるマイクロバブル洗浄機(能代市扇田のアキモク鉄工で)
産業機械製造の「アキモク鉄工」(能代市扇田、花下智之社長)は9日、超微細な気泡「マイクロバブル」を放射しイオン結合で車体に付着した塩類を除去する洗浄機を、海上自衛隊八戸航空基地(青森県八戸市)に納品した。来年2月にはアフリカ・ジブチの海外基地へ移送され、アデン湾で国際問題となっている海賊の対処活動でパトロールに従事する哨戒機の塩害腐食防止に活用される。同社の技術が国際社会の平和と安全に貢献する事例としても注目される。
海自によると、ソマリア沖のアデン湾は東洋と欧州を結ぶ海上輸送の大動脈で、年間2万隻の船舶が航行する。しかし近年は海賊トラブルが深刻化。日本は国際社会の一員として、インド洋に面するアデン湾を通過する輸送船の海賊被害を防ぐ「海賊対処行動」に取り組んでいる。P─3C哨戒機は周辺海域をパトロールし、輸送船への攻撃や乗っ取りを防ぐために重要な役割を担っている。
塩分を含んだ海水による腐食は、航空機の性能低下につながり、安全な飛行を阻害する要因となる。アキモク鉄工が開発したマイクロバブル洗浄機は、機体に付着する塩分を洗浄することで塩害腐食を効果的に防止し、過酷な海洋環境で活動する哨戒機の稼働率向上に貢献することが期待される。
洗浄機は幅1・2㍍、長さ1・0㍍、高さ1・2㍍。水道水を使って低圧洗浄する機器(容量200㍑)で、航空機や車両、船舶の塩分除去などで活用される。10㍍離れた場所からも噴射して除去する能力がある。マイクロバブルの特許を持っている能代市河戸川の「レフラン」(旧ベイクルーズ)と共同開発し、秋田大が効果を確認するなど産学官の連携で生まれた。
八戸航空基地から注文があったのは、平成28年に東京ビッグサイト(東京)で開かれた日本最大級の航空・宇宙の総合展示会「国際航空宇宙展」に出品したのがきっかけ。同社の洗浄機が防衛省の担当者の目に留まり、南方の島嶼(とうしょ)防衛で演習する水陸両用車の塩分除去として29年に納品。性能が認められて、今回の受注生産につながった。
海賊対処は、米国を含む多国籍部隊「CTF151」が海域にゾーンディフェンスを敷いて実施している。ジブチの拠点で実際に運用が始まれば、同社製品の信頼性が実証され、今後の受注拡大や新たな分野への展開も見えてくる。
花下社長(71)は「マイクロバブルは塩害腐食防止として各方面から注目され始めており、能代を含む産学官の連携で生まれた技術が日本の国際貢献活動に寄与する意義は大きい。海賊対処活動は日本だけでなく他国も加わる連合任務なので、さらなる受注拡大につなげたい」と話している。
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