「やまぶき」と「Oryza」が誕生。「にこ輪」と3種類のみそを詰め合わせた商品も開発
歳暮用セットの販売に向け、作業する就労継続支援B型事業の利用者たち
能代市鰄渕の能代地域生活支援センター(鈴木ルリ子施設長)の就労継続支援B型事業の自主製品の手作りみそに、昔ながらの仕込みで造った「やまぶき」と、酒造用の麹(こうじ)菌を使った「Oryza(オリザ)」が誕生した。新2製品と既存の「にこ輪」を詰め合わせた歳暮用のセット商品を考案し、箱折りやシール貼りなど、利用者が障害や特性に応じて携われる多様な作業工程も実現。多くの利用者が「みそ」に関われる環境を整え、工賃アップにつなげていきたい考えだ。
同センターは能代ふくし会が4年3月に供用開始した多機能型事業所。就労継続支援B型(定員30人)は受託作業や自主製品製作などで就労機会を提供、現在35人が登録・通所している。
自主製品のみそは4年4月に秋田今野商店(大仙市)の指導を受け試作を始め、5年10月に「にこ輪」を発売。大豆1に対し米麹2・7の配合で、まろやかな味わいが好評を得ている。
ただ、みそ醸造に携わる利用者は5人と限定的。大豆の栽培や選別作業もあるが、みそ造りに関わらないため工賃に反映できない利用者が少なくないことが課題で、「利用者みんなが1工程でも関わるみそ」を事業成功のめどの一つに掲げ、製造・販売目標(年間3㌧)のクリアという難題も踏まえ商品や工程を検討した。
新商品は「米麹1、大豆1」の割合で、「やまぶき」は「にこ輪」と同じ米麹菌を使用し、「Oryza」は酒造用麹菌を使い香りの良さも特徴。塩分は100㌘当たり13㌘で、にこ輪(12・4㌘)より少し塩辛い。対面販売の際に「おばあさんがみそ造りをやめてしまった」など、昔ながらの辛口みそを求める声があるという。商品名は種麹の名前に由来し、パッケージデザインは能代市出身のデザイナー佐藤杏樹さん(26)=秋田市=。今年4月に仕込みを開始、今月から熟成を終えてきている。
多様な作業工程の創出は3種類のセット商品をつくることで実現した。500㌘入りを1個ずつ箱詰めした商品で、紙箱折り、緩衝材の裁断、シール作り・貼り、カードの角に丸みを付けるといった作業を利用者が分担。まず、歳暮用に100セット限定(1セット1800円)で始めることにし、今月12、13日の引き渡しに備え、出荷準備にいそしんでいる。
にこ輪の販路開拓で道の駅ふたついとテラタバイパス店での取り扱い実現や市内外のイベント出店の成果もあり、昨年10月からの1年間で約860㌔を販売、約82万円の売上があった。鈴木施設長は「就労B型の利用者みんなでみそ造りを手掛け、そのみそが地域に広がり『センターのみそ、おいしいね』と言ってもらえるようになってほしい。一つ一つの工程が、利用者1人ひとりの特性に合った作業になり、ようやくつながった。工賃に反映させていきたい」と話した。
来月から、やまぶきは単品でも販売し800㌘入り760円。Oryzaは年間10たる(1たるは約37㌔)限定製造で、販売はセット商品のみ。にこ輪は500㌘入り500円で変更なし。価格はいずれも税込み。
問い合わせ先は同センター(☎0185・58・5670)。
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