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さよなら イオンたまご 更別・すきた養鶏場

 国道236号沿いの卵自動販売機で知られる、更別村唯一の養鶏場「すきた養鶏場」(鋤田幸男代表)が31日で38年続いた営業を終える。イオン水を与えて育てる「イオンたまご」のブランドを確立し、鋤田代表(77)と妻てる子さん(70)が二人三脚で守り続けてきた。鋤田代表は「周りに迷惑をかける前に、元気なうちに」と語り、これまでの周囲の支えに感謝している。

イオンたまごを作り続けてきた(左から)鋤田さんとてる子さん

国道沿い自販機 31日まで
 すきた養鶏場は、1986年に自宅敷地内に5000羽を収容できる鶏舎を建て開業。帯広市民生協へ卵の出荷を始めると、鶏舎1棟では足りなくなり、古い納屋などを自ら改装し鶏舎を整備した。ピーク時は1万羽を飼育し、1日に8000個の卵を生産した。

 開業から数年後、牛にイオン水を与えているという酪農家に出会った。直感で「(イオン水の導入を)やらなければ」と、ステンレスの鉄板からイオン水貯蔵用のタンクを作り、鶏へのイオン水の給餌を開始した。これにより卵の生臭さが消え、「生で食べてもおいしい」と客にも好評。ほかにも活性炭を与えるなど餌にこだわった「イオンたまご」を作り続けてきた。

 すきた養鶏場といえば、国道236号沿いに設置されている卵の自販機。「地元の人にも食べてほしい」と98年、村の助成を受け設置した。管内でも先駆けで、設置当初は自販機前に列ができた。国道沿いの立地も奏功し、村民だけではなく「管外からのドライバーや仕事帰りのサラリーマンが買ってくれたこともあった」(鋤田代表)と振り返る。

夫婦で二人三脚 近隣住民も支え
 新たな試みに挑み続け顧客を増やしてきた鋤田代表だったが、50代の時、餌のかくはん機に誤って手を入れて、左手の薬指を失った。鋤田代表が鶏舎に出られない期間、助けてくれたのは近所の人だった。てる子さんと一緒に餌やりや卵集めに協力してくれたという。鋤田代表は「あのとき助けてもらったからこそ、ここまで続けてこられた」と話し、温かい支えを今でも忘れない。

 ここ数年ほどはコープさっぽろへの出荷もやめ、自販機と道の駅さらべつ、個人客との取引のみで、鶏も900羽ほどにして規模を縮小。だいぶ楽にはなったが、75歳を過ぎ「いろんなことが大儀になり、自販機の設定間違いなども増えてきた」と、やめる決断をした。

 鋤田代表は餌やりや卵の選別の作業などをこなしながら、ふと「本当になくなるのだ」と寂しさを感じながら最後の1カ月を過ごした。「地元の人が一番、卵を買ってくれたと思う。買ってくれる人がいたから、ここまでやってこられた」と話し、感謝している。

 すきた養鶏場の自販機販売は31日まで。1パック800グラム300円で販売している。

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