
のぼり旗を掲げ、「岡谷みそ」を使った給食を頬張る川岸小の児童
郷土食を子どもたちに伝えようと、長野県岡谷市内の全小中学校で毎月30日、岡谷市産みそを使ったメニューが給食に提供されている。地元特産物のさらなる周知に向け、各校は「岡谷味噌のヒ」と書かれたのぼり旗の設置を新たに始めた。授業で生徒が料理を考案し、献立の一つとして採用する学校も。多彩な味わいと視覚的効果でアピールし、郷土文化と食の理解を深める機会につなげていく。
◆新たにのぼり旗でアピール
岡谷市は、昭和30年代に県内有数のみそ生産地として隆盛し、現在は9社が受け継ぐ。製糸とも深い関わりを持つ「岡谷みそ」。かつて製糸業が盛んだった同市では、工女の食を支える自家製みそが造られ、醸造業に発展した歴史がある。
学校給食の試みは、市内のみそ業者が毎月30日を「岡谷味噌のヒ」と位置付けてアピールするのにちなみ、昨年度から開始。各校で異なる献立は、アイデアや工夫が凝らされ、みそベースのミートローフや粉ふき芋、すき焼きなど多彩なメニューを展開している。
◆各校で異なるメニュー展開
川岸小では9月の献立に「みそかつ」が提供され、全校児童約300人がパンに挟むなどして味わった。5年生の児童は「甘じょっぱくて濃厚なみそがおいしい。いろんなメニューがあって毎回楽しめる」と平らげた。
栄養士の北澤直子さんはのぼり旗を掲げ、「子どもの食習慣を養う給食で、ふるさとのみその味を伝えていきたい。大事に味わい、食文化を未来へつないでほしい」と期待を込めた。
◆生徒考案のオリジナル料理も
岡谷東部中では、地域の食文化に理解を深めるため、2年生がみそを使った料理を考案した。栄養教諭が一部を給食で提供。採用されたのは、みその風味を生かしたスイートポテトやシチュー、豚肉の漬け焼き、野菜を挟んだコッペパンなどがある。
「りんごの甘酒味噌マフィン」を考案した宮澤直さんは、信州特産のリンゴとみそに加え、甘酒を入れてオリジナリティーを追求した。試行錯誤を重ね、「白みそを混ぜることで程よい味になった」。レシピ作りを通して「何気なく食べていた地元のみそ。いろんな料理に使われて健康にも役立っていると気付き、意識するようになった」と話す。
献立作りを指導した家庭科教諭の松村和歌(あいか)さんは「みその汎用性を知り、郷土愛を育むことにもつながれば」と願っていた。同校によると、今後は3年生が昨年度に考案した給食メニューが登場するという。
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