阪神から育成ドラフトで１位指名された能代一中出身の工藤（徳島インディゴソックス提供）

　プロ野球ドラフト会議から一夜明けた25日、能代市能代一中出身で独立リーグ・四国アイランドリーグｐｌｕｓの徳島インディゴソックスに所属する最速１５９㌔右腕、工藤泰成投手（22）が阪神タイガースから育成ドラフトで１位指名されたことに、工藤の家族や小中学校時代の恩師からは祝福やプロ入り後の活躍に期待する声が上がった。

　工藤は東京国際大４年だった昨年、プロ志望届を提出したが指名漏れ。24日夜の記者会見で、工藤は「ＮＰＢ（プロ野球）に行くために死ぬ気で頑張ってきたので、本当に良かった。最短で支配下に行けるように頑張りたい」と話した。
　工藤は秋田市生まれ。父一範さん（53）＝山形市＝の転勤で小学５年生の時に能代市渟西小に転校し、スポーツ少年団の渟西小野球クラブに所属した。
　同スポ少の監督だった松橋英司さん（56）＝同市昇平岱＝は「指名されて本当にうれしい」と声を弾ませた。当時を「運動神経が抜群で、内野、投手、捕手を守り、中心選手として活躍した」と語る。
　練習に向き合う姿勢も目を見張るものがあり、「自主練習も一生懸命で、努力を惜しまない選手だった。チームの雰囲気を明るくするムードメーカーでもあった」と目を細め、「支配下登録を目指し、巨人の大勢、阪神の泰成のＷタイセイで球界を盛り上げてもらいたい」と期待した。
　工藤が能代一中２、３年時に野球部監督を務めた男鹿市男鹿南中教諭の三戸仁志さん（58）＝八郎潟町＝も「当時からセンスも光っていたが、努力を惜しまなかったからこそ指名されたのだと思う」と教え子の指名を喜んだ。
　「口数は多くないが黙々と練習を頑張り、プレーで仲間を引っ張る存在だった」と振り返り、３年生の時は投打の軸となる選手だったという。三戸さんは「日本の一番上のステージに進むことは素晴らしい。努力を続け、支配下登録されることを期待している」とエールを送った。
　工藤の父一範さんは24日、仕事の合間を縫ってドラフト会議の様子をインターネット配信で見て、育成１位指名に「ほっとした」。午後11時ごろに工藤と電話で話し、「良かったね。スタートラインに立てたね」などと声を掛けた。
　渟西小、能代一中で野球に打ち込んだ工藤だったが、高校ではバドミントン部に入ろうとしていた。一範さんの「せっかく続けてきたのだから、３年間試合に出られなくても高校でも野球部で頑張ってほしい」との思いに応え、秋田市の自宅から近かった明桜高進学後も野球を続けた。
　一範さんは、独立リーグでの工藤の試合も観戦に訪れ、「見るたびに体が大きくなって球速も上がり、今年のドラフトは期待していた」と明かす。「能代市で過ごした５年間、さまざまな人たちの協力があったからこそを野球を頑張ることができた。感謝の気持ちを忘れず、けがに気を付けて頑張ってほしい」と話した。