棚田保全、協働で推進 信州大農学部とワッカアグリ協定締結

伊那市長谷中尾の棚田をバックに協定書を取り交わした(左から)米倉真一学部長と細谷啓太取締役社長、立会者の布山澄局長
信州大学農学部(長野県南箕輪村)と、伊那市長谷中尾の棚田で輸出用の米作りに取り組む農業法人「Wakka Agri(ワッカアグリ)」(同市)は10日、協働して棚田の保全活動を進めるため、「棚田パートナーシップ協定」を締結した。県内では12例目、上伊那地方では3例目。教育機関が関わる協定の締結は初めてという。
ワッカアグリは2017年に設立。中尾地区を拠点に健康志向の強い海外市場向けに農薬や肥料を一切使わない自然栽培による米作りを行っている。より効率的な米作りを実現するため、信大農学部との共同研究に取り組み、学生の農作業体験や実習の受け入れなどを通じた人材育成にも貢献している。
協定は、棚田の保全に向けて県が進める「信州棚田ネットワーク」の取り組みの一環で、棚田保全団体と、共に保全に取り組む企業などを県の仲介で結び付け、保全活動の継続や地域の活性化につなげる狙い。上伊那地方ではこれまでに同市高遠町山室の棚田を対象にした二つの協定が結ばれている。
この日は中尾の棚田で協定の締結式が開かれ、同学部の米倉真一学部長と同法人の細谷啓太取締役社長が協定書を取り交わした。協定では、棚田をフィールドとした教育・研究に取り組むことや、共同研究の成果を生かした良質な棚田米の生産、日本の原風景を伝える地として後世に残せるよう尽力することなどを盛り込んでいる。
米倉学部長は「棚田は生きた教材。作物の生産というだけでなく、コミュニティーを含めた社会科学的な側面も重要になる」と期待。細谷社長は「棚田は遺産のように捉えられることが多いが、棚田の価値を最大化して世界に打って出る攻めの姿勢で取り組んできた」とし、農家民泊や観光への活用を含めた「新たな棚田の未来をつくりたい」と抱負を述べた。
協定の締結に立ち会った県上伊那地域振興局の布山澄局長は国土の保全や景観など棚田の多面的機能に触れながら「県としても棚田の魅力発信に全力を挙げていきたい」と力を込めた。
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