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長野日報社

御嶽山噴火10年 九死に一生、山と向き合う 山岳写真家の津野祐次さん

噴煙を吹き上げる噴火直後の御嶽山の写真。「反射的にシャッターを切った」と当時を振り返る津野祐次さん=伊那市の長谷アルプス・フォトギャラリー

 死者58人、行方不明者5人を出した御嶽山噴火から27日で10年。山岳写真家の津野祐次さん(78)=長野県伊那市長谷=はあの日、山頂近くにいて噴火に遭遇した。噴煙に巻き込まれながらもなんとか下山。九死に一生を得たが、多くの人が亡くなり、しばらくつらい時期があったという。それでも「せっかく残った命」と思い直し、自分を奮い立たせた。「どんな山にも危険がある」。そう心に刻み、自然に対しては「謙虚な気持ちを忘れてはならない」と肝に銘じながら山と向き合う。

 2014年9月27日。御嶽山の頂上直下、「もう少しで山頂」という場所だった。突然、「見たことがない雲が見えた」。反射的にカメラのシャッターを切った。直後、花火のような爆発音がして噴火だと気付いた。下りてくる登山者を入れながらもう一度、シャッターを切った。

 津野さんはこの日、出版に携わっているガイドブックの確認のため、御嶽山を訪れていた。前日に中央アルプスを縦走中、御嶽山の紅葉がきれいに見えた。「200回以上は登っている」というなじみの山の一つだ。ロープウエーを降りた後、黒沢登山道から頂上を目指していた。

 山のベテランも初めてという噴火との遭遇。すぐには噴火だと分からなかった。シャッターを切った後、瞬く間に噴煙が押し寄せ、漆黒の闇に包まれた。暗くて自分の手さえ見えない。その場にしゃがみ込むしかなかった。熱風が吹き付け、細かな噴石が降り注ぐ。雲仙・普賢岳の噴火のときの映像が頭に浮かび、「死を覚悟した」という。

 少し明るくなったタイミングで登山道のポールやロープをたどって駆け下りた。ロープウエーは既に運休していたため、さらに登山道を下り、なんとか山麓駅に止めてあった車にたどり着いた。行き交う人の顔はみんな真っ黒。自分もそうなのだろうと思い、ようやく我に返った。

 九死に一生を得たものの、「1、2年はつらかった」という。しかし、「せっかく残った命」と自分を奮い立たせた。山への向き合い方も変わった。「どんな山にも危険がある。いつ何が起こるか分からない」。そう考え、山には必ずヘルメットを持って行くように。噴煙に巻き込まれたときの経験から、マスクや懐中電灯も装備に加えた。

 山を愛する気持ちは今も変わらない。自然の素晴らしさや大切さ、地球の成り立ちを学ぶ場。「閉ざしてほしくない」と願う。そのためには装備、体力、情報収集など「自己管理が大切」と訴える。そして、自然に対しては「謙虚な気持ちで向き合うこと」。その思いを忘れず「今後も命ある限り山の写真を撮り続けていきたい」と誓う。

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