「人体絵画土器」を公開 富士見町の井戸尻考古館

富士見町の井戸尻考古館は、具象的絵画が描かれた土器としては国内最古とされる、町内から出土した縄文時代の「人体絵画土器」(町有形文化財)を展示している。絵画部分の劣化を防ぐため普段は展示しておらず、公開は2015年の企画展以来3年ぶり。展示は7月6日まで。同館は「具象的な絵が描かれた縄文土器は例がなく極めて貴重。この機会にぜひ見てほしい」と呼び掛けている。
土器は1968年、同町烏帽子の唐渡宮遺跡の東南縁を通る農道の拡幅工事中に発見された。縄文時代中期後葉(およそ4200年前)の大型深鉢で高さ63センチ、口径50センチ。
人体絵画は土器底部近くに墨のような黒色顔料で描かれている。当時の土偶によく似た上半身で乳房が描かれ、両脚を左右に大きく開き、首から顔にかけては黒く塗りつぶされている。絵画部分は縦23センチ、横約20センチ。
同館は「煮沸具として使われた後、土器棺として埋められたと考えられる。絵は死と葬送に関わるものとみられる。絵自体は分娩の情景と解釈され、誕生に関わっている」と説明。その上で「近年の研究によると、火の神を生んだことによって死に至る母神の出産情景を描いたものとみられる」と考察している。
展示は、同町など諏訪地方と山梨県の八ケ岳周辺14市町村の「星降る中部高地の縄文世界」が5月、文化庁の「日本遺産」に認定されたことを記念して企画。人体絵画土器も構成遺産の一つになっている。
展示は午前9時~午後5時。月曜休館。入館料高校生以上300円、小中学生150円。問い合わせは同館(電話0266・64・2044)へ。
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