2025年度までの存続が決まっている名古屋鉄道の西尾・蒲郡線(西蒲線)について、沿線地域の蒲郡、西尾の両市と名鉄、対策会議などからなる検討会が「上下分離方式」=ことば=導入を一つの存続策としていることが分かった。5日、蒲郡市議会9月定例会で千賀充能氏(自民)の質問に市が答えた。
上下分離方式 基本的に日本の鉄道は、鉄道会社が線路や駅舎など鉄道施設の「下」を保有しつつ「上」である列車運行をしてきた。しかし近年は赤字ローカル線を存続させるため上下を分離して沿線自治体が「下」を負担し、鉄道会社が「上」のみを担う例が出てきた。さまざまな組み合わせがあり、車体も「下」として自治体が保有し、それを鉄道会社が借りるケース(養老鉄道)もある。鉄道会社の負担は軽くなる半面、自治体にとっては新たな財政負担が生じるため、協議に時間がかかることもある。
多くの市民が利用する西蒲線=三河鹿島駅で
西蒲線は西尾―蒲郡間の計27・3㌔。両市は10年度から、名鉄に毎年計2億5000万円(蒲郡9931万円、西尾1億5068万円)の財政支援をしている。運行期限は25年度まで。
利用者は11~19年度が約300万人だったが、20年度は新型コロナウイルス禍で259万5000人に減少した。現在はコロナ禍前に戻っているものの営業収入は3億3003万円で、経常損益は7億8224万円の赤字になっている。
千賀氏の今後の展望についての質問に対し鈴木寿明市長は「西蒲線は単なる交通手段だけではなく、学生の通学や高齢者の移動などで市民の生活を支えている。早期の存続が決まるよう努力する」と述べた。そのうえで「26年度以降は『上下分離方式』を一つの考え方とし、現在も西尾市とともに名鉄と協議を進めている」と答弁した。11月下旬に西尾市役所で開く対策協議会は総会で中間報告し、年度末には一定の方向性を示すという。
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