戦争で得られるものない 映画「轟音」で平和学習
古久保健さんから、龍神村殿原に墜落したB29についての話を聞く龍神中学校の生徒=和歌山県田辺市龍神村安井で
和歌山県田辺市龍神村安井の龍神中学校1年生13人は15日の終戦記念日を前に、平和学習に取り組んだ。太平洋戦争末期に龍神村殿原に墜落した米軍の爆撃機B29に関するドキュメンタリー映画「轟音(ごうおん)」を視聴し、平和の大切さや戦争の悲惨さについて理解を深めた。
龍神中では毎年、学年ごとに、原爆投下のあった広島市について学んだり、修学旅行で沖縄県を訪れたりして、平和学習をしている。
1945年5月5日、B29が殿原の山中に墜落し、搭乗していた11人のうち7人が死亡。パラシュートで脱出した4人のうち3人がその後に処刑され、1人は不明とされている。映画「轟音」は、B29の墜落や、死亡した搭乗兵の供養をしたことなどを、当時を知る住民へのインタビューを交えて記録している。
映画では、生き残った搭乗兵に白米のおにぎりを提供したことや、慰霊碑を建てて毎年5月5日に慰霊祭を営んでいることのほか、墜落について調査を続け、多くの人の協力を得て搭乗兵の遺族と対面を果たした殿原の郷土史家、古久保健さん(86)の活動も伝えている。
上映後、古久保さんは生徒たちに「戦争で得られるものは何もない。悲しみや憤りだけが残される。命の続く限り、戦争は駄目なんだと考えてくれる人を一人でも多く増やしていきたい」と訴えた。また、「平和な世の中をつくるため、精いっぱい勉強して、みんなの役に立てる人間に成長してほしい」と呼びかけた。
1年生の寒川里菜さん(12)は「小学生の頃に殿原のB29のことを勉強していて、慰霊碑も見たことがある。今の平和な日本で暮らせて良かったけど、昔起きた戦争のことも、ちゃんと知っておかないといけないと思う」と話した。
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