まちなか小劇場 息遣い間近に 「平原通り」こけら落とし満席 帯広

こけら落とし公演が行われた平原通り小劇場
帯広市中心部の商業ビル地下に誕生した民間の小劇場「平原通り小劇場」(西2南9)が15日、オープンした。こけら落とし公演には演劇ファンや関係者などが訪れ、昼・夜の部ともに全席完売と、好調な滑り出しとなった。
同劇場は「ギャルリーシノカワ」の地下に設けた。210平方メートルの広さに、座席数80席のほか、舞台(幅6メートル、奥行き8メートル)には、最新機器の照明や音響装置も設置。演劇に限らず、音楽ライブやお笑いなど幅広い利活用を想定し、演出に合わせて、椅子の数や位置を変更できる仕様になっている。
こけら落とし公演は、劇団「札幌座」の斎藤歩さん(59)が、ハンガリーの作家カリンティの戯曲を脚色し、1995年から上演している名作「亀、もしくは…。」。精神療養所を舞台にしたブラックコメディーで、「正常と異常の境目」をテーマに、斎藤さんの他、山野久治さん(風の色)、宮林康さん(アクセント)、川崎勇人さん(劇団東京乾電池)の4人が熱演を繰り広げた。
舞台と客席の近さが同劇場の特徴で、観客は俳優の息遣いなどを間近で感じながら、約1時間の作品にのめり込んだ。娘と二人で来場した帯広市の小林真理亜さん(52)は、「小劇場ならではの迫力があり、とても感動した」と話していた。
斎藤さんは北海道演劇財団の理事長を務めており、同劇場については、「『もっとこうした方がいい』と思う部分はあるが、上演を重ねるうちに出来上がっていくもの。使う場面によって都合の良い設定ができる舞台だし、サイズ感もちょうど良い」と話した。
さらに、「中心街にあるということが一番の強み」とし、「足を運びやすいだけでなく、劇などを見た後に飲食店で感想を話し合うこともできる。客にとっても地域の産業にとっても良いこと」と語った。
同劇場ではすでに次の公演予約も入っており、オーナーであるコスモスハート(帯広)の勝海敏正社長は「いろんな人がいろんな発信をする場所として使ってほしい」としている。
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