
諏訪湖間欠泉センターでのトークイベントであいさつする是枝裕和監督(左)
カンヌ国際映画祭脚本賞受賞作で諏訪地域をメインロケ地とした映画「怪物」の公開1周年を記念して、長野県諏訪地方観光連盟の諏訪圏フィルムコミッション(FC)は8日、是枝裕和監督らを招いたトークイベントを諏訪市の諏訪湖間欠泉センターなどで開いた。県内外から多くのファンが来場。是枝監督や出演者らが質問に応じ、諏訪地域の印象や映画のシーンに込めた思いなどを語った。
「怪物」は同FCの協力を得て諏訪地域で撮影。富士見町落合の旧立場川橋梁や旧瀬沢隧道(トンネル)で撮影されたシーンが物語の核となる場面で登場する。公開後、国内外からロケ地を訪れるファンも後を絶たないといい、1周年を記念して作品の世界を堪能するイベントを企画した。
この日は諏訪湖間欠泉センターと岡谷市の映画館「岡谷スカラ座」でトークイベントを実施。同センター駐車場では是枝監督とプロデューサーの伴瀬萌さん、主要キャストを務めた黒川想矢さん、柊木陽太さんが来場者の質問に答え、撮影を振り返った。
是枝監督は「たくさんの人に協力いただきできた映画。温かく見守ってもらい、とてもいい作品ができた」と感謝。会場からは演出の意図や各シーンに寄せる思いなどを問う質問が相次いだ。
富士見町が撤去の検討を進めている旧立場川橋梁について、是枝監督は「消えていってしまう物が映像の中に残るのも映画の力」とした上で、「お金的なことだけでなくそうとしているなら、どこか他を削ってほしい。貴重な風景が短期間になくなるのは寂しい」との思いを吐露した。
松本市から参加した会社員の古瀬真樹子さん(24)は「映画は3回見たが、伏線回収もありその都度見方が変わってくる」と作品の魅力を語り、「監督と近い距離で言葉を交わすことができてびっくり」と感激していた。
同FCは1周年記念展「映画『怪物』2人の秘密基地展」を来年2月28日まで、同センター内で開催。作品に登場する物品などを展示している。入場無料。
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